大学入学共通テスト（公民） 過去問
令和7年度（2025年度）本試験
問14 (公共,倫理（第4問） 問5)

ある大学のオープンキャンパスで、高校生Dと日本思想を専攻する大学院生Eが話をしている。次の会話文を読み、後の問いに答えよ。

D：倫理の授業で、日本ではさまざまな思想が交わったり、対決したりしないまま、それぞれ別々に存在していただけで、結局、新たな個性が生まれなかったっていう考えが紹介されたんです。そのとおりだとすると、ちょっと残念かなって。
E：確かにそういう面もあるけど、外来思想と対話し、伝統を踏まえながら、独自の思想を形成した例もあるんだよ。
D：そうなんですか？
E：日本思想の流れを振り返ってみようか。まず、_（a）神々への信仰が古くからあったところに、諸外国からあらたに思想や文化が入ってくることで、独自の思想が醸成されていったんだ。
D：_（b）仏教も日本で独自の展開を見せたんですよね。
E：江戸時代には、_（c）外来思想を独自に展開させた思想家も多く出てきたし、日本古来の伝統を見直そうとする人々もいたよ。
D：そういえば、明治時代には、_（d）西洋文明をどのように受け止めるか、いろんな人が試行錯誤したって学んだなぁ。外来思想をひたすら受け入れていただけではない、ってことですね。

大学院生Eとの会話を受け、高校生Dは、レポートをまとめた。次のレポート中の空欄（　a　）～（　c　）に入る人名の組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

レポート
私は、子供のころから、「クリスマスやハロウィンについてよく知らない人がお祭り騒ぎをするのは、変なのではないか」、「みんな、お寺と神社の違いをきちんと考えているのだろうか」といった思いをもち、授業で取り上げられた（　a　）と同じように、日本ではいろいろな思想が「雑居」していることに疑問を感じていた。
倫理の授業では、「現代日本の開化は皮相上滑りの開化である」という（　b　）の言葉のような、私の考えに重なる、数多くの言葉に出会うことができた。私は、その中でも、「武士道そのものに日本国を救うの能力（ちから）はない。武士道の台木に基督（キリスト）教を接（つ）いだもの、そのものは世界最善の産物であって、これに日本国のみならず全世界を救うの能力がある」という（　c　）の言葉に注目した。この言葉は、日本に特殊な思想と外来の思想との優劣を問うのではなく、両者を総合し、新たな思想を作り上げていくことが必要だと述べている。
「雑居」のよさもあるかもしれないが、（　c　）が述べるような姿勢も必要なのではないかと考えている。