共通テスト(公民) 過去問
令和8年度(2026年度)本試験
問24 (公共,倫理(第6問) 問5)

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問題

共通テスト(公民)試験 令和8年度(2026年度)本試験 問24(公共,倫理(第6問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

生徒Nと生徒Oが、幼少期によく遊んでいた住宅地の一角で話をしている。次の会話文を読み、後の問いに答えよ。

N:ここに来たのは久しぶりだね。道路が拡張され、風景が一変して驚いた。
O:ここの道路拡張に関しては、本当に必要なのかと疑問が投げかけられていたし、a元からいた住民の移転も問題になっていたよ。
N:この辺にあったb木もたくさん伐(き)られてしまった。
O:それも無視できない問題だね。樹木を住み処(か)とする生き物は多いし…。今日ここに来たとき、鳥の声が聞こえなくて寂しい感じがした。それに、ニュースで知ったけど、特に葉を茂らせた木は、暑さ対策や二酸化炭素の吸収に役立つから、c気候変動対策に貢献するんだって。
N:なるほど、人間の都合で大量に草木を取り除くことには問題があるんだね。それで思い出した。父が、生態系への配慮からd農薬を使わずに野菜を育てていて、面白いことを言っていた。忙しくてしばらく畑に出られないと、早く草取りに来てくれって畑が呼ぶんだって。
O:畑が呼ぶってどういうこと?
N:もちろん畑が話すわけじゃないよ。草が伸びて野菜が困っているかもしれないという思いを、父は、畑が呼ぶ声と言っているのだと思う。
O:でも、抜かれる草だって生きているわけだよね…。野菜を守るために草を取るのは良いことに見えるけれど、道路拡張のための樹木伐採も、野菜栽培のための草取りも、人間の都合を優先しているという点では同じじゃないの?
N:うーん、むやみに除草剤を使うのだったら話は別だけど、父の畑の草取りは、人間の都合しか考えていない道路拡張とは違うんじゃないかな。むしろ、父は父なりに、e人間と自然との共生を考えているのだと思う。

下線部eについて、生徒Nは先生Tと会話をした。次の会話文を読み、会話文中の( ア )~( ウ )に入る記述の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

N:図書館で『チッソは私であった―水俣病の思想』を借りて読みました。
T:水俣病を患った漁師の緒方正人の話を収めた本ですね。
N:水俣湾沿岸の漁民たちは海の異変に気付いていたし、捕れた魚介類が汚染されていたこともわかっていたということです。それでも漁民たちは魚を食べ続けたというところを読んで、自然との共生って何なのだろうと思ってしまいました。汚染された魚を食べれば、自分も水銀に汚染されるのに。
T:そこは重要なポイントですね。海に出て魚を捕って食べることで生きることができるという生活の中で、漁民たちは( ア )のです。
N:それはレオポルドの「土地倫理」と似ていますね。( イ )という考え方ですよね。
T:そうです。レオポルドは、さらに、「土地」に対する愛情、尊敬や感嘆の念が伴わなければ、いくら規則や制度を作っても意味がないという見解も示しています。
N:それは、水俣病の被害と加害に関する緒方の考え方とも合致します。被害者への補償など制度的問題は重要だけれど、命を金銭に換算する補償金制度では命そのものに向き合うには不十分だと語られていました。
T:レオポルドも緒方も、( ウ )の重要性を示しています。これが、自然との共生に不可欠な考え方です。

( ア )に入る記述
a  海の汚染が人体にまで影響するとは思っていなかった
b  経済成長を最優先する社会のあり方に怒りを感じていた
c  人間は魚によって養われているという感覚を有していた

( イ )に入る記述
d  人間は生態系という共同体の構成員にすぎない
e  人間は自分が生まれ育った故郷にとどまるべきだ
f  人間が介入しないことにより健全な生態系が保たれる

( ウ )に入る記述
g  環境保全と経済活動にまたがる持続可能な開発
h  経済的尺度では測れない価値を生態系に認めること
i  生態系が健全であった過去の時代の生活様式に戻ること

  • ア — a  イ — d  ウ — g
  • ア — a  イ — e  ウ — i
  • ア — a  イ — f  ウ — h
  • ア — b  イ — d  ウ — i
  • ア — b  イ — e  ウ — g
  • ア — b  イ — f  ウ — h
  • ア — c  イ — d  ウ — h
  • ア — c  イ — f  ウ — i

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この過去問の解説 (1件)

01

「土地倫理」とは、アメリカの生態学者、レオポルドが提唱した、人間と自然の関係を律する考え方のことです。
緒方正人は、水俣病患者認定運動を牽引した人物です。

 

( ア )に入る記述
✕a  海の汚染が人体にまで影響するとは思っていなかった
漁民たちは捕れた魚介類が汚染されていたことをわかっていましたが、それでも魚を食べ続けていました。

 

✕b  経済成長を最優先する社会のあり方に怒りを感じていた
経済成長については述べられていません。

 

○c  人間は魚によって養われているという感覚を有していた
「海に出て魚を捕って食べることで生きることができるという生活」という発言から読み取れます。


( イ )に入る記述
○d  人間は生態系という共同体の構成員にすぎない
これはレオポルドの「土地倫理」における重要な思想です。
「海に出て魚を捕って食べることで生きることができるという生活」という発言からも読み取れます。

 

✕e  人間は自分が生まれ育った故郷にとどまるべきだ
故郷にとどまることと「土地倫理」は無関係です。

 

✕f  人間が介入しないことにより健全な生態系が保たれる
レオポルドは「土地倫理」において、人間は生態系という共同体の構成員だと捉えています。


( ウ )に入る記述
✕g  環境保全と経済活動にまたがる持続可能な開発
これはSDGsの考え方です。

 

○h  経済的尺度では測れない価値を生態系に認めること
「命を金銭に換算する補償金制度では命そのものに向き合うには不十分」という発言から読み取れます。

 

✕i  生態系が健全であった過去の時代の生活様式に戻ること
過去の生活様式については述べられていません。

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