大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和7年度(2025年度)追・再試験
問14 (公共,倫理(第4問) 問5)
問題文
C:今日、倫理の授業で、(a)清き明き心や禊・祓いが話に出てきたでしょ。ちょうどこの前、いとこが厄年だから、神社でお祓いを受けてきたって言ってたんだ。
D:へー。「穢れがとれて、きれいさっぱり!」ってなるのかな。日本人はきれい好きだって、よく言われるもんね。
C:きれい好きといえば、少年野球でピッチャーやってたとき、四番バッターとの対決を避けて敬遠したら、敵チームから「きたないぞ」って言われて、ムッときたことを思い出したよ。「ルール違反しているわけじゃないのに、何言ってんの?」って。
D:確かに、行為についてもそうだし、人についても、「いい」「悪い」じゃなくて、「きれい」「きたない」で評価することも多いかも。
C:「結果はともかく、一生懸命やりなさい」みたいに、(b)純粋な心で、全力で事に当たることばっかりを大事にするみたいなところもあるよね。
D:「一生懸命」って、もともとは、(c)武士が命を懸けて先祖代々の領地を守ろうとしたっていう「一所懸命」が変化してできた言葉らしいよね。
C:いずれにしても、(d)一つのことにまっすぐ、っていうことかな。
D:それとちょっと似たような発想だと思うんだけど、我が家ではずっと、「自分の気持ちに素直に生きなさい」って言われてきたよ。
C:だけど、(e)自分の気持ちに素直に生きているからって、好き勝手をしたり、人に迷惑をかけたりしてもいいってなっちゃったら、それは違うんじゃない?
D:でも、まっすぐで深い思いとか純粋な心とかって、やっぱり魅力的に感じるんだよね。「ルールを守ってさえいればいいでしょ」っていうのは、なんか冷たいような気もして。
C:そういう感覚、自分にも確かにあるなぁ。どっちがいいとも言い切れないよね。
下線部(e)のように考えた生徒Cは、次のレポートをまとめた。レポート中の空欄( a )・( b )に入る記述の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
レポート
( a )しようとした島崎藤村は、のちに小説『新生』で、姪との間の出来事を大胆に告白した。また、田山花袋は、小説『蒲団』で、男性作家が女弟子に対して抱く恋情を赤裸々に描き、そのような「人間の浅ましさ」について、「けれどこれが人間である。これが自然である」と主張した。
これに対して、和辻哲郎は、彼らは「「自然」に即したと豪語する」が、それは「人間を赤裸々にすればそこには食欲、性欲、貪欲、名誉欲などがあるきりだ」という「浅薄」な「自然」観・人間観にとらわれているのであり、「「自然」をよく見ない人である」と批判した。
倫理の教科書によると、和辻は、( b )。そのような和辻にとっては、何が「自然」なのかを検討もせず、人間のあり方をはじめから決めつけるような考えは、納得できないものだったのだろう。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和7年度(2025年度)追・再試験 問14(公共,倫理(第4問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
C:今日、倫理の授業で、(a)清き明き心や禊・祓いが話に出てきたでしょ。ちょうどこの前、いとこが厄年だから、神社でお祓いを受けてきたって言ってたんだ。
D:へー。「穢れがとれて、きれいさっぱり!」ってなるのかな。日本人はきれい好きだって、よく言われるもんね。
C:きれい好きといえば、少年野球でピッチャーやってたとき、四番バッターとの対決を避けて敬遠したら、敵チームから「きたないぞ」って言われて、ムッときたことを思い出したよ。「ルール違反しているわけじゃないのに、何言ってんの?」って。
D:確かに、行為についてもそうだし、人についても、「いい」「悪い」じゃなくて、「きれい」「きたない」で評価することも多いかも。
C:「結果はともかく、一生懸命やりなさい」みたいに、(b)純粋な心で、全力で事に当たることばっかりを大事にするみたいなところもあるよね。
D:「一生懸命」って、もともとは、(c)武士が命を懸けて先祖代々の領地を守ろうとしたっていう「一所懸命」が変化してできた言葉らしいよね。
C:いずれにしても、(d)一つのことにまっすぐ、っていうことかな。
D:それとちょっと似たような発想だと思うんだけど、我が家ではずっと、「自分の気持ちに素直に生きなさい」って言われてきたよ。
C:だけど、(e)自分の気持ちに素直に生きているからって、好き勝手をしたり、人に迷惑をかけたりしてもいいってなっちゃったら、それは違うんじゃない?
D:でも、まっすぐで深い思いとか純粋な心とかって、やっぱり魅力的に感じるんだよね。「ルールを守ってさえいればいいでしょ」っていうのは、なんか冷たいような気もして。
C:そういう感覚、自分にも確かにあるなぁ。どっちがいいとも言い切れないよね。
下線部(e)のように考えた生徒Cは、次のレポートをまとめた。レポート中の空欄( a )・( b )に入る記述の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
レポート
( a )しようとした島崎藤村は、のちに小説『新生』で、姪との間の出来事を大胆に告白した。また、田山花袋は、小説『蒲団』で、男性作家が女弟子に対して抱く恋情を赤裸々に描き、そのような「人間の浅ましさ」について、「けれどこれが人間である。これが自然である」と主張した。
これに対して、和辻哲郎は、彼らは「「自然」に即したと豪語する」が、それは「人間を赤裸々にすればそこには食欲、性欲、貪欲、名誉欲などがあるきりだ」という「浅薄」な「自然」観・人間観にとらわれているのであり、「「自然」をよく見ない人である」と批判した。
倫理の教科書によると、和辻は、( b )。そのような和辻にとっては、何が「自然」なのかを検討もせず、人間のあり方をはじめから決めつけるような考えは、納得できないものだったのだろう。
- a:自分の気持ちを新体詩という文語定型詩の形式で生き生きと表現 b:人間という言葉に示されているように、社会こそが個人に先立ってそれ自体として存在するものであると考え、人間を間柄的存在と捉えた
- a:自分の気持ちを新体詩という文語定型詩の形式で生き生きと表現 b:社会の中に生きながらもそこに埋没しきらない個人が、再び自己を否定して社会の中に生きるという運動を繰り返すと考えた
- a:文学によって、自己の内なる精神的欲求を「想世界」において実現 b:人間という言葉に示されているように、社会こそが個人に先立ってそれ自体として存在するものであると考え、人間を間柄的存在と捉えた
- a:文学によって、自己の内なる精神的欲求を「想世界」において実現 b:社会の中に生きながらもそこに埋没しきらない個人が、再び自己を否定して社会の中に生きるという運動を繰り返すと考えた
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