大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和7年度(2025年度)本試験
問24 (公共,倫理(第6問) 問4)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和7年度(2025年度)本試験 問24(公共,倫理(第6問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

生徒Hと生徒Jは、戦争と平和について対話をした。次の会話文を読み、後の問いに答えよ。

H:この前、親戚のおじさんが語っていたよ。「いま日本が平和なのは、戦後に人々が反省し、(a)暴力による問題の解決を放棄したからだ。だが、その記憶は薄れつつある。戦争について語ろうものなら、怪訝(けげん)な顔をされる始末だ。やがて、誰も平和について考えなくなるだろう。社会の趨勢(すうせい)が戦争に傾き始めても、人々は疑問を抱かずに戦争に加担してしまうかもしれない」って。
J:その主張は、( ア )という意見と解釈できて、まさにフーコーによる近代への批判と同じだ。ただ、私はおじさんの主張は少し見方が狭いと思うな。
H:確かに、フーコーに通じるものがあるね。でも、なんでそう思うの?
J:だって、今の世界は全然平和ではないもの。ほかの国に目を向ければ、いろいろなところで戦闘が起きているし、罪のない人々の権利が侵害されている。
H:でも、それって外国の話だと思うけど。
J:いやいや、そうした人たちだって同じ人間だよ。(b)他国で起きている戦争や紛争についても真剣に考えるべきだし、たとえ戦闘が起きていなくても、そこに生きる人々が人間らしい生活を送れているかを気遣うべきじゃないかな。
H:よく考えたら、人々の平和を脅かすものは戦争や紛争だけじゃないよね。(c)一国の中でも、虐殺が行われて、民間人が犠牲になることもある。
J:でも、そうした問題を解決するにはどうしたらいいんだろう。民間人が権力者と戦おうとしたら、かえって悲惨なことが起きるかも知れない。でも、支配されるままでいても、平和は実現されない…。どう思う?
H:そうだなぁ…。正直、そんな風にしっかりと考えたことがなかったよ。でも、たとえ平和のために戦うことが必要だとしても、武力で戦ったり、人を傷つけたりすることだけが全てではないと思う。(d)もっと違う形で、暴力に抵抗することもできるんじゃないかな。
J:そう考えると、どうやって平和を実現するかって、本当に複雑な問題だよね。今度、先生と話してみようかな。

下線部(c)に関連して、生徒Hは精神医学者フランクルの『夜と霧』を読み、その内容について先生Rと会話をした。次の会話文中の下線部に該当する事例として最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

R:著者はアウシュビッツ強制収容所から生還したことで知られていますね。
H:衝撃的だったのは、病気になった被収容者が荷車に積み上げられて、吹雪の中で何キロも移送されたという記述です。こんな恐ろしいことが起きていたなんて、信じられません。収容されていた人々は、いったいどのような存在として扱われていたのでしょうか。
R:フランクルが描いた強制収容所における被収容者の扱われ方には、三つの特徴が見られます。まず、「一人ひとりはまさにただの数字」であったと述べられているように、人間が単なる数量として捉えられている、ということ。次に、そのように数量化された人間が「リスト通り」に、組織的な目標のもとで管理されていたということ。最後にもっとも重要なのは、「個人の存在が蔑(ないがし)ろにされている」ということ、つまりその人自身への配慮が欠如していた、ということです。そこまでのことではありませんが、同じようなことは、身近な場面でも起こりえます。
H:この本で受けた衝撃を忘れないようにします。そのために、人間らしい生活を脅かす身近な事例の中でも、その三つの特徴が全て当てはまるものを考えてみます。
  • ある教師が、難関校への合格件数を向上させるために、試験の点数が低い生徒と面談を行い、生徒の希望に応じて補習の機会を設けた。
  • ある野球部員が、全国大会での実績をよくするために、普段からやる気のない部員を呼び出し、見せしめとして全員の前で怒鳴った。
  • ある店長が、営業体制を維持するために、必要な人員数を算出し、本人の希望や健康を無視して、従業員を長時間にわたる業務に割り当てた。
  • ある人が、配偶者の健康と長生きのために、体重を管理し、カロリーの高い食品を禁止して、配偶者の食の喜びを奪った。

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