大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和7年度(2025年度)本試験
問7 (公共,倫理(第3問) 問7)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和7年度(2025年度)本試験 問7(公共,倫理(第3問) 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

次の場面3の会話文を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いの生徒A〜Cは、各々前問と全て同じ人物である。

場面3  一緒に仏像展を観に行った帰りに、生徒A~Cが次の会話をしている。

A:仏像って、お寺で拝むものだと思っていたけど、会場に仏像がずらっと並んでいるのを見ると、アートに見えてきた。そういえば、Bさんは何かそんなレポートを書いてなかったっけ?
B:多くの宗教が、宗教的な目的のために芸術を用いてきたけれど、(f)近代になると、次第に芸術は宗教とは独立に価値あるものと見なされるようになった、という内容のレポートだよ。
A:そうした変化のおかげで、美術館で仏像を見られるのかな。こうして実際に「会える」のは、得難い経験だね。心が洗われる感じがした。
C:仏像もレプリカがあるけれど、私はやっぱり本物が見たい。
A:私も「推し」を映像で何度も見るけど、ライブは一回限りだから、そこが魅力。
B:どちらにせよ、それが「いま」「ここ」にしかない点が重要かな。世界に一つしかない作品に特有の神秘的な力を、ベンヤミンはアウラと呼んだって教科書に書いてあった。
C:オーラのことだね。それで思い出したことがある。(g)20世紀になって複製技術が発展していくなかで、近代的な芸術概念では捉えきれない芸術作品が出てきた、という話があったね。
A:そうそう、常設展コーナーにあった現代アートについては、どう思った?私は、必ずしも普通の意味で「美しい」とは言えない気がした。
C:現代アートについて、既製品の便器を展示したといった話を授業で聞いたときは、私はあまり関心をもてなかった。けれど、話に聞くだけでなく、直接、アート作品に接してみると、私は心が動かされたよ。実に面白い。
B:実際に作品に出会うと、刺激を受けたり、考えさせられたりするね。生きていく上で、(h)芸術を享受する体験はとても重要だと思う。

下線部(g)に関して、ベンヤミンの次の資料の内容を踏まえて、芸術作品と複製技術の関係についての記述として最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

資料
芸術作品を技術によって複製する時代において失われていくものは、作品のもつアウラである。......複製技術は、一般的に言えば、複製されたものを伝統の領域から引き離してしまう。複製技術は、これまでの一回限りの作品に代わり、同一の作品を大量に出現させる。そしてそれは、その都度の状況の中で受け手に作品を近づけることによって、複製されたものを生き生きとさせる。この二つの過程によって、これまで伝えられてきた芸術は激しく揺さぶられることになる。この伝統の震撼(しんかん)は、現代における人類の危機や革新と表裏一体をなすものである。これは現代の大衆運動とも密接に結びついている。
ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品』より
  • 複製技術は、作品を歴史的、社会的文脈から切り離すが、受け手に近づけることによって、一回限りの作品と同等のアウラを作品に与える。
  • 複製技術は、作品を歴史的、社会的文脈から切り離すことなく、受け手に近づけることによって、一回限りの作品とは異なるアウラをもたらす。
  • 複製技術は、作品がもつ唯一無二性という価値を無力化するが、アクセスを容易なものとすることで、作品を広く大衆に開く。
  • 複製技術は、作品がもつ唯一無二性という価値を無力化せず、アクセスを容易なものとすることで、作品を広く大衆に開く。

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