大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和7年度(2025年度)本試験
問6 (公共,倫理(第3問) 問6)
問題文
場面3 一緒に仏像展を観に行った帰りに、生徒A~Cが次の会話をしている。
A:仏像って、お寺で拝むものだと思っていたけど、会場に仏像がずらっと並んでいるのを見ると、アートに見えてきた。そういえば、Bさんは何かそんなレポートを書いてなかったっけ?
B:多くの宗教が、宗教的な目的のために芸術を用いてきたけれど、(f)近代になると、次第に芸術は宗教とは独立に価値あるものと見なされるようになった、という内容のレポートだよ。
A:そうした変化のおかげで、美術館で仏像を見られるのかな。こうして実際に「会える」のは、得難い経験だね。心が洗われる感じがした。
C:仏像もレプリカがあるけれど、私はやっぱり本物が見たい。
A:私も「推し」を映像で何度も見るけど、ライブは一回限りだから、そこが魅力。
B:どちらにせよ、それが「いま」「ここ」にしかない点が重要かな。世界に一つしかない作品に特有の神秘的な力を、ベンヤミンはアウラと呼んだって教科書に書いてあった。
C:オーラのことだね。それで思い出したことがある。(g)20世紀になって複製技術が発展していくなかで、近代的な芸術概念では捉えきれない芸術作品が出てきた、という話があったね。
A:そうそう、常設展コーナーにあった現代アートについては、どう思った?私は、必ずしも普通の意味で「美しい」とは言えない気がした。
C:現代アートについて、既製品の便器を展示したといった話を授業で聞いたときは、私はあまり関心をもてなかった。けれど、話に聞くだけでなく、直接、アート作品に接してみると、私は心が動かされたよ。実に面白い。
B:実際に作品に出会うと、刺激を受けたり、考えさせられたりするね。生きていく上で、(h)芸術を享受する体験はとても重要だと思う。
下線部(f)に関して、生徒Bは近代の芸術について次のレポートを作成した。空欄( a )~( c )に入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
レポート
近代になると芸術は次第に宗教から独立していくが、この点を考える際には自然科学の成立の歴史が参考になる。『天文対話』を著した( a )や『プリンキピア』を著したニュートンら、17世紀の科学革命の担い手たちは、自然の秩序の解明が神の栄光を示すことにつながると考えていた。しかし、実験と観察を重視し、数式を用いて( b )を解明しようとするなかで、やがて自然科学は、宗教から独立していくことになる。
では、芸術はどうだろうか。ルネサンス期の芸術家は多くの宗教画を描いており、神の栄光を伝えるという宗教的伝統を引き継いでいたが、その一方で、遠近法を取り入れるなど、人間の目に映る世界の中に美を見出し、それを表現しようとした。このような( c )の精神から、芸術は次第に、それを感受したり創造したりする人間との関係で捉えられるようになっていく。その結果、18世紀になると、芸術作品は作者の自己表現として考えられるようになる。こうして芸術は、宗教的文脈から離れて、それ自体として価値があるものとみなされるようになったのである。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和7年度(2025年度)本試験 問6(公共,倫理(第3問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
場面3 一緒に仏像展を観に行った帰りに、生徒A~Cが次の会話をしている。
A:仏像って、お寺で拝むものだと思っていたけど、会場に仏像がずらっと並んでいるのを見ると、アートに見えてきた。そういえば、Bさんは何かそんなレポートを書いてなかったっけ?
B:多くの宗教が、宗教的な目的のために芸術を用いてきたけれど、(f)近代になると、次第に芸術は宗教とは独立に価値あるものと見なされるようになった、という内容のレポートだよ。
A:そうした変化のおかげで、美術館で仏像を見られるのかな。こうして実際に「会える」のは、得難い経験だね。心が洗われる感じがした。
C:仏像もレプリカがあるけれど、私はやっぱり本物が見たい。
A:私も「推し」を映像で何度も見るけど、ライブは一回限りだから、そこが魅力。
B:どちらにせよ、それが「いま」「ここ」にしかない点が重要かな。世界に一つしかない作品に特有の神秘的な力を、ベンヤミンはアウラと呼んだって教科書に書いてあった。
C:オーラのことだね。それで思い出したことがある。(g)20世紀になって複製技術が発展していくなかで、近代的な芸術概念では捉えきれない芸術作品が出てきた、という話があったね。
A:そうそう、常設展コーナーにあった現代アートについては、どう思った?私は、必ずしも普通の意味で「美しい」とは言えない気がした。
C:現代アートについて、既製品の便器を展示したといった話を授業で聞いたときは、私はあまり関心をもてなかった。けれど、話に聞くだけでなく、直接、アート作品に接してみると、私は心が動かされたよ。実に面白い。
B:実際に作品に出会うと、刺激を受けたり、考えさせられたりするね。生きていく上で、(h)芸術を享受する体験はとても重要だと思う。
下線部(f)に関して、生徒Bは近代の芸術について次のレポートを作成した。空欄( a )~( c )に入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
レポート
近代になると芸術は次第に宗教から独立していくが、この点を考える際には自然科学の成立の歴史が参考になる。『天文対話』を著した( a )や『プリンキピア』を著したニュートンら、17世紀の科学革命の担い手たちは、自然の秩序の解明が神の栄光を示すことにつながると考えていた。しかし、実験と観察を重視し、数式を用いて( b )を解明しようとするなかで、やがて自然科学は、宗教から独立していくことになる。
では、芸術はどうだろうか。ルネサンス期の芸術家は多くの宗教画を描いており、神の栄光を伝えるという宗教的伝統を引き継いでいたが、その一方で、遠近法を取り入れるなど、人間の目に映る世界の中に美を見出し、それを表現しようとした。このような( c )の精神から、芸術は次第に、それを感受したり創造したりする人間との関係で捉えられるようになっていく。その結果、18世紀になると、芸術作品は作者の自己表現として考えられるようになる。こうして芸術は、宗教的文脈から離れて、それ自体として価値があるものとみなされるようになったのである。
- a:コペルニクス b:四原因 c:プロテスタンティズム
- a:コペルニクス b:四原因 c:ヒューマニズム
- a:コペルニクス b:因果法則 c:プロテスタンティズム
- a:ガリレイ b:因果法則 c:ヒューマニズム
- a:ガリレイ b:因果法則 c:プロテスタンティズム
- a:ガリレイ b:四原因 c:ヒューマニズム
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この過去問の解説 (2件)
01
【aについて】
「ガリレイ」が当てはまります。
『天文対話』とは、天動説が有力であった時代に、
地動説について書いた本です。
コペルニクスは、『天球の回転について』という本を書いてます。
こちらも地動説を唱えたものです。
【bについて】
「因果法則」が当てはまります。
因果法則とは、
今ある事物が過去の何らかの事物の結果であり、
また将来の何らかの事物の原因であるということです。
この法則を基に、観測と実験を繰り返して自然現象を理解していきました。
四原因とは、アリストテレスが『自然学』の中で唱えた考え方です。
全ての物が「資料因」、「形相因」、「作用因」、「目的因」の、
4つの要素で成り立っているという考え方です。
【cについて】
「ヒューマニズム」が当てはまります。
ヒューマニズムとは、人間性の尊重と、人間の解放を基調とする主張です。
ヒューマニズムの影響で、芸術は、人間の美しさや個性を表現するものへとなっていきました。
プロテスタンティズムとは、16世紀の宗教改革の中心的思想のことです。
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02
近代の科学・芸術に関する問題です。
a:ガリレイ
『天文対話』を著したのはガリレイです。
ガリレイの有名な著書には『天文対話』の他に『新科学対話』があります。
どちらも「対話」とついていますね。
コペルニクスの有名な著書には『天球の回転について』があります。
b:因果法則
近代の科学者らは機械論的自然観に基づき、あらゆるもの(人間含む)が原因と結果の連鎖によって機械のように法則的に運動するものだと考えて研究を進めました。
四原因はアリストテレスの言葉で、物事の4つの原因のことです。
c:ヒューマニズム
人間性の尊重と再興を目指す考え方がヒューマニズムです。
「人間の目に映る世界の中に美を見出し、それを表現しようとした」とあるので、ここにはヒューマニズムが入ります。
プロテスタンティズムは、プロテスタントの考え方・思想・論理のことです。
以上より
a:ガリレイ b:因果法則 c:ヒューマニズム
が解答です。
今回は著書を押さえていないと難しい問題でした。
倫理では著書の知識を問う問題も出ますので、有名な本は覚えておきましょう。
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