大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和7年度(2025年度)本試験
問3 (公共,倫理(第3問) 問3)
問題文
場面1 放課後に、生徒Aと生徒Bが次の会話をしている。
A:昨日、「推し」のライブに行ってきたのだけど、「推し」が他のメンバーの誰よりもひときわ輝いて歌っていて。その姿が尊くて、祈るような気持ちで見ていた。
B:「推し」って、応援している対象のことだよね。「神」なんて呼んでしまう人もいるけど、「推し」ってそんなにあがめる対象なの?例えば、「推し」が悪いことをしてもあがめるの?
A:さすがにそこまで妄信しているわけではないけれど…。私の「推し」は、たとえて言えば、(a)ギリシア彫刻のように美しくて、すごいオーラがあるよ。誰が見ても理想的な美しさだと思うはずだけど。
B:でも、どんなものに美しさを感じるのかは、人それぞれなのではないかな?芸術作品にもいろいろな美しさがあるよね。芸術の受け止め方も、時代や民族、(b)宗教によって異なっているでしょう?
A:そうだね。美しいというのも、姿かたちのことだけではなく、振る舞いや精神の美しさもある。美しいとはどういうことかという問題は、奥が深そうだね。
B:そういえば、キリスト教では、(c)神と美との関係について思索している人もいるらしいよ。
下線部(c)に関して、生徒Aが先生Rに尋ねたところ、Rが作成した授業資料を手渡された。アウグスティヌスの思想と次の授業資料の内容の説明として最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
授業資料
善と美を同一視する考え方は古代ギリシアにも見られるが、ある解釈によれば、アウグスティヌスは『告白』において、「わが神よ、わが美よ」と呼びかけ、神を「すべての美しきものの根源なる、美そのもの」とみなしている。アウグスティヌスによれば、芸術家たちは、この神の美を美しさの判断基準として用いて、様々な美しいものを作り出すとされる。また、私たちはそのために、これら作られた美に心を惹(ひ)かれるのである。
しかし、アウグスティヌスは、作られた美に対する愛を「罠(わな)」とも表現している。というのも、私たちの本来の目的は美の源泉である神そのものを愛することにあり、作られた美のみを追い求めるのは、本来の目的から私たちを遠ざけるものであるからである。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和7年度(2025年度)本試験 問3(公共,倫理(第3問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
場面1 放課後に、生徒Aと生徒Bが次の会話をしている。
A:昨日、「推し」のライブに行ってきたのだけど、「推し」が他のメンバーの誰よりもひときわ輝いて歌っていて。その姿が尊くて、祈るような気持ちで見ていた。
B:「推し」って、応援している対象のことだよね。「神」なんて呼んでしまう人もいるけど、「推し」ってそんなにあがめる対象なの?例えば、「推し」が悪いことをしてもあがめるの?
A:さすがにそこまで妄信しているわけではないけれど…。私の「推し」は、たとえて言えば、(a)ギリシア彫刻のように美しくて、すごいオーラがあるよ。誰が見ても理想的な美しさだと思うはずだけど。
B:でも、どんなものに美しさを感じるのかは、人それぞれなのではないかな?芸術作品にもいろいろな美しさがあるよね。芸術の受け止め方も、時代や民族、(b)宗教によって異なっているでしょう?
A:そうだね。美しいというのも、姿かたちのことだけではなく、振る舞いや精神の美しさもある。美しいとはどういうことかという問題は、奥が深そうだね。
B:そういえば、キリスト教では、(c)神と美との関係について思索している人もいるらしいよ。
下線部(c)に関して、生徒Aが先生Rに尋ねたところ、Rが作成した授業資料を手渡された。アウグスティヌスの思想と次の授業資料の内容の説明として最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
授業資料
善と美を同一視する考え方は古代ギリシアにも見られるが、ある解釈によれば、アウグスティヌスは『告白』において、「わが神よ、わが美よ」と呼びかけ、神を「すべての美しきものの根源なる、美そのもの」とみなしている。アウグスティヌスによれば、芸術家たちは、この神の美を美しさの判断基準として用いて、様々な美しいものを作り出すとされる。また、私たちはそのために、これら作られた美に心を惹(ひ)かれるのである。
しかし、アウグスティヌスは、作られた美に対する愛を「罠(わな)」とも表現している。というのも、私たちの本来の目的は美の源泉である神そのものを愛することにあり、作られた美のみを追い求めるのは、本来の目的から私たちを遠ざけるものであるからである。
- ギリシアの四元徳を否定して、信仰、希望、愛の必要性を説いたアウグスティヌスは、芸術作品の美しさが神に由来すると考えているが、作られた美への愛にとどまり続けてはならないと主張している。
- ギリシアの四元徳を否定して、信仰、希望、愛の必要性を説いたアウグスティヌスは、美の源泉が神の美であるという点から、芸術家は美しいものを作ることを通じて、神に対する愛を自然に獲得すると主張している。
- パウロからだけではなく、プロティノスからも影響を受けたアウグスティヌスは、芸術作品の美しさが神に由来すると考えているが、作られた美への愛にとどまり続けてはならないと主張している。
- パウロからだけではなく、プロティノスからも影響を受けたアウグスティヌスは、美の源泉が神の美であるという点から、芸術家は美しいものを作ることを通じて、神に対する愛を自然に獲得すると主張している。
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