大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和6年度(2024年度)追・再試験
問14 (<旧課程>現代社会(第2問) 問6)
問題文
会話文
モリヤ:国の資金調達と言えば、国債の問題がありますね。深刻な財政赤字への対処が必要だと思いますが、財政規律にはどんな手段がありますか。
先生:まず、財政法の定めが挙げられます。この法律は、公共事業などの財源とするためにのみ国債発行を認めており、それ以外の一般的な経費に充てるための国債発行は認めない、という原則を採用しています。
モリヤ:グラフ1を見ると、1995年度以降は( ア )と言えます。
先生:そうですね。政府の累積債務の増加を抑えることは簡単でないと言えます。他には、d 市中消化の原則もあります。また、憲法は国会に( イ )権限を認めており、これも財政運営を国会が規律する手段だと言えるでしょう。
モリヤ:憲法には、慈善事業などへの公金支出を制限する規定もあると聞きました。
先生:よく学習していますね。ただ、その規定の趣旨には、公費濫用の防止のほかに、e 政教分離原則も関係するので注意しましょう。
モリヤ:分かりました。ところで、政府は、f プライマリー・バランス(基礎的財政収支)の均衡達成を目標としていますね。
先生:ええ、それも財政規律の手段です。もっとも、どのような手段をとるにせよ、私たち国民が財政規律について真剣に考える必要があるでしょう。
下線部eに関して、日本の最高裁判所が示した判断に関する記述として正しいものを次のア〜ウからすべて選んだとき、その組合せとして最も適当なものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
ア 市が公有地を神社の敷地として無償で使用させていたことが空知太神社訴訟で争われたが、政教分離原則に反しないとされた。
イ 県が神社に対して玉ぐし料などを公金から支出したことが愛媛玉ぐし料訴訟で争われたが、政教分離原則に反しないとされた。
ウ 市が体育館の起工に際して神道式の地鎮祭を行い、その費用に公金を支出したことが津地鎮祭訴訟で争われたが、政教分離原則に反しないとされた。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和6年度(2024年度)追・再試験 問14(<旧課程>現代社会(第2問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
会話文
モリヤ:国の資金調達と言えば、国債の問題がありますね。深刻な財政赤字への対処が必要だと思いますが、財政規律にはどんな手段がありますか。
先生:まず、財政法の定めが挙げられます。この法律は、公共事業などの財源とするためにのみ国債発行を認めており、それ以外の一般的な経費に充てるための国債発行は認めない、という原則を採用しています。
モリヤ:グラフ1を見ると、1995年度以降は( ア )と言えます。
先生:そうですね。政府の累積債務の増加を抑えることは簡単でないと言えます。他には、d 市中消化の原則もあります。また、憲法は国会に( イ )権限を認めており、これも財政運営を国会が規律する手段だと言えるでしょう。
モリヤ:憲法には、慈善事業などへの公金支出を制限する規定もあると聞きました。
先生:よく学習していますね。ただ、その規定の趣旨には、公費濫用の防止のほかに、e 政教分離原則も関係するので注意しましょう。
モリヤ:分かりました。ところで、政府は、f プライマリー・バランス(基礎的財政収支)の均衡達成を目標としていますね。
先生:ええ、それも財政規律の手段です。もっとも、どのような手段をとるにせよ、私たち国民が財政規律について真剣に考える必要があるでしょう。
下線部eに関して、日本の最高裁判所が示した判断に関する記述として正しいものを次のア〜ウからすべて選んだとき、その組合せとして最も適当なものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
ア 市が公有地を神社の敷地として無償で使用させていたことが空知太神社訴訟で争われたが、政教分離原則に反しないとされた。
イ 県が神社に対して玉ぐし料などを公金から支出したことが愛媛玉ぐし料訴訟で争われたが、政教分離原則に反しないとされた。
ウ 市が体育館の起工に際して神道式の地鎮祭を行い、その費用に公金を支出したことが津地鎮祭訴訟で争われたが、政教分離原則に反しないとされた。
- アとイとウ
- アとイ
- アとウ
- イとウ
- ア
- イ
- ウ
- 正しいものはない
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この過去問の解説 (2件)
01
政教分離の原則に関する事例には、今回の選択肢の順番から、空知太神社訴訟や愛媛玉ぐし料訴訟、津地鎮祭訴訟などがあります。
それぞれの争点やどのような判決が下ったか、復習しておくと良いと思います。
また政教分離の原則を考える際、目的効果基準というものがあることも忘れてはいけません。
目的効果基準とは、ある行為が宗教的な目的で行われていないか、特定の宗教に対して大きな利益・もしくは圧迫を及ぼしていないか、これらによって政教分離の原則に反していないかを判断するものです。
では、争点やどのような判決が下ったか、簡単におさらいしましょう。
〇空知太神社訴訟は、北海道砂川市が市有地を空知太神社に無償提供していたことに対し、地元住民が政教分離の原則に違反するとして訴訟へと発展しました。最高裁は、この行為を特定宗教への援助とし違憲判決を下しています。
→よって選択肢の文章は間違いです。
〇愛媛玉ぐし料訴訟は、愛媛県知事が靖国神社の玉ぐし料を公費支出していたことから、訴訟へと発展しています。靖国神社は戦前の軍国主義の象徴であり、特定の宗教団体とも判断され、支払っている費用は少額ながらも政教分離に違反しているということで違憲判決になりました。
→よって選択肢の文章は間違いです。
〇津地鎮祭訴訟は、地鎮祭は宗教的行事ではなく世俗的行事であること、神主に支払った費用は少額であることから、合憲という結果になりました。
→よって選択肢の文章は正しいです。
政教分離の原則に関する訴訟問題は、今回出てきた3つは押えておきましょう。
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02
政教分離原則に関する問題です。
政教分離原則に関する違憲判断では、
「目的効果基準」と「総合衡量基準」が用いられます。
目的効果基準では、その目的が宗教的か、効果が宗教に対する援助や干渉にあたるかを元に判断します。
総合衡量基準では、上記を含む複数の要素を総合的に考慮して判断します。
〇記述ア:誤り
空知太神社訴訟(砂川政教分離訴訟)では、
市が公有地を神社の敷地として無償で使用させていたことが争われました。
最高裁判所は、総合衡量基準に基づき政教分離原則に反して違憲と判断しました。
よって、記述内容は誤りです。
〇記述イ:誤り
愛媛玉ぐし料訴訟では、戦没者慰霊祭に際して、
県が神社に対して玉ぐし料などを公金から支出したことが争われました。
最高裁判所は、目的効果基準に基づき政教分離原則に反して違憲と判断しました。
よって、記述内容は誤りです。
〇記述ウ:正しい
津地鎮祭訴訟では、市が体育館の起工に際して
神道式の地鎮祭を行い、その費用に公金を支出したことが争われました。
最高裁判所は、目的効果基準に基づき、起工式が世俗的行事であるとして
政教分離原則に反しないと判断しました。
よって、記述内容は正しいです。
正答は「ウ」です。
誤りです。
誤答「ア」「イ」が含まれています。
誤りです。
誤答「ア」「イ」が含まれており、正答「ウ」が含まれていません。
誤りです。
誤答「ア」が含まれています。
誤りです。
誤答「イ」が含まれています。
誤りです。
誤答「ア」が含まれており、正答「ウ」が含まれていません。
誤りです。
誤答「イ」が含まれており、正答「ウ」が含まれていません。
正しいです。
誤りです。
「ウ」が正答です。
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