大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和6年度(2024年度)追・再試験
問13 (<旧課程>現代社会(第2問) 問5)
問題文
会話文
モリヤ:国の資金調達と言えば、国債の問題がありますね。深刻な財政赤字への対処が必要だと思いますが、財政規律にはどんな手段がありますか。
先生:まず、財政法の定めが挙げられます。この法律は、公共事業などの財源とするためにのみ国債発行を認めており、それ以外の一般的な経費に充てるための国債発行は認めない、という原則を採用しています。
モリヤ:グラフ1を見ると、1995年度以降は( ア )と言えます。
先生:そうですね。政府の累積債務の増加を抑えることは簡単でないと言えます。他には、d 市中消化の原則もあります。また、憲法は国会に( イ )権限を認めており、これも財政運営を国会が規律する手段だと言えるでしょう。
モリヤ:憲法には、慈善事業などへの公金支出を制限する規定もあると聞きました。
先生:よく学習していますね。ただ、その規定の趣旨には、公費濫用の防止のほかに、e 政教分離原則も関係するので注意しましょう。
モリヤ:分かりました。ところで、政府は、f プライマリー・バランス(基礎的財政収支)の均衡達成を目標としていますね。
先生:ええ、それも財政規律の手段です。もっとも、どのような手段をとるにせよ、私たち国民が財政規律について真剣に考える必要があるでしょう。
下線部dに関連して、モリヤさんは日本国債の発行残高とその保有率の変化を調べ、次のグラフ2を作成した。また、なぜこの変化が起きたのか疑問をもったので、先生に質問を送ったところ、先生から返信をもらった。Xには後の語句ア・イのいずれかが、Yには後の語句ウ・エのいずれかが、Zには後の語句オ・カのいずれかが入る。X~Zに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
質問
模擬授業では国債が市中消化されるとお話しされたので、発行された巨額の国債をどこが保有しているのか気になりました。そこでデータを調べてグラフ2を作ったのですが、それを見ると、過去20年間で最大の保有者は変化して、2022年には( X )になっています。これはなぜなのでしょうか。
返信
良いところに気付きましたね。発行済みの国債は金融政策の手段として、( Y )に用いられます。国債の最大の保有者が( X )に変わったのは、政府が赤字国債を発行する一方、金融政策では物価上昇率の目標を設定した( Z )以降、大規模な( Y )が行われ、保有する国債が増加したからです。
Xに入る語句
ア 市中銀行
イ 日本銀行
Yに入る語句
ウ 預金準備率操作
エ 公開市場操作
Zに入る語句
オ 量的・質的緩和政策の採用
カ 日本版金融ビッグバン
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和6年度(2024年度)追・再試験 問13(<旧課程>現代社会(第2問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
会話文
モリヤ:国の資金調達と言えば、国債の問題がありますね。深刻な財政赤字への対処が必要だと思いますが、財政規律にはどんな手段がありますか。
先生:まず、財政法の定めが挙げられます。この法律は、公共事業などの財源とするためにのみ国債発行を認めており、それ以外の一般的な経費に充てるための国債発行は認めない、という原則を採用しています。
モリヤ:グラフ1を見ると、1995年度以降は( ア )と言えます。
先生:そうですね。政府の累積債務の増加を抑えることは簡単でないと言えます。他には、d 市中消化の原則もあります。また、憲法は国会に( イ )権限を認めており、これも財政運営を国会が規律する手段だと言えるでしょう。
モリヤ:憲法には、慈善事業などへの公金支出を制限する規定もあると聞きました。
先生:よく学習していますね。ただ、その規定の趣旨には、公費濫用の防止のほかに、e 政教分離原則も関係するので注意しましょう。
モリヤ:分かりました。ところで、政府は、f プライマリー・バランス(基礎的財政収支)の均衡達成を目標としていますね。
先生:ええ、それも財政規律の手段です。もっとも、どのような手段をとるにせよ、私たち国民が財政規律について真剣に考える必要があるでしょう。
下線部dに関連して、モリヤさんは日本国債の発行残高とその保有率の変化を調べ、次のグラフ2を作成した。また、なぜこの変化が起きたのか疑問をもったので、先生に質問を送ったところ、先生から返信をもらった。Xには後の語句ア・イのいずれかが、Yには後の語句ウ・エのいずれかが、Zには後の語句オ・カのいずれかが入る。X~Zに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
質問
模擬授業では国債が市中消化されるとお話しされたので、発行された巨額の国債をどこが保有しているのか気になりました。そこでデータを調べてグラフ2を作ったのですが、それを見ると、過去20年間で最大の保有者は変化して、2022年には( X )になっています。これはなぜなのでしょうか。
返信
良いところに気付きましたね。発行済みの国債は金融政策の手段として、( Y )に用いられます。国債の最大の保有者が( X )に変わったのは、政府が赤字国債を発行する一方、金融政策では物価上昇率の目標を設定した( Z )以降、大規模な( Y )が行われ、保有する国債が増加したからです。
Xに入る語句
ア 市中銀行
イ 日本銀行
Yに入る語句
ウ 預金準備率操作
エ 公開市場操作
Zに入る語句
オ 量的・質的緩和政策の採用
カ 日本版金融ビッグバン
- X ― ア Y ― ウ Z ― オ
- X ― ア Y ― ウ Z ― カ
- X ― ア Y ― エ Z ― オ
- X ― ア Y ― エ Z ― カ
- X ― イ Y ― ウ Z ― オ
- X ― イ Y ― ウ Z ― カ
- X ― イ Y ― エ Z ― オ
- X ― イ Y ― エ Z ― カ
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この過去問の解説 (2件)
01
主に金融政策に関する問題です。それぞれの空欄におけるポイントを見ていきましょう。
【( X )のポイント】
これはグラフ2を見て下さい。日本銀行の国債の保有率が最も高くなっています。
→空欄には日本銀行が入ります。
【( Y )のポイント】
それぞれの内容を振り返りましょう。
・預金準備率操作:市中銀行が日本銀行に必ず預けておかないといけないお金(=預金準備)の割合を変えることで、世の中のお金の量を調整する方法。
・公開市場操作:日本銀行が市中銀行との間で国債などを売買し、世の中のお金の量を調整する方法。
→預金準備率操作は国債とは関係がありません。よって空欄には公開市場操作が入ります。
【( Z )のポイント】
問題文が公開市場操作に関わる内容であることから、解答は量的・質的緩和政策の採用になることが分かります。一応、選択肢の語句を振り返っておきます。
・量的・質的緩和政策:日本銀行が市中銀行から国債などの有価証券を購入することで(買いオペレーション)、世の中のお金の量を増やし、景気を活性化させることを目的とした政策。2013年4月から2016年1月まで行いました。
・日本版金融ビッグバン:1996年より進められた、規制緩和に重きを置いた日本の金融制度改革のこと。これにより、護送船団方式と呼ばれる銀行保護政策からの転換も図られました。
語句の単純な暗記も大事ですが、内容もしっかりと押えて下さい。今回の問題に関しては、内容をきちんと理解できていればすぐに答えられる問題だったと思います。
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02
国債の市中消化の原則と日本の金融政策に関する問題です。
〇空欄X:正答イ「日本銀行」
グラフ2から、2022年の国債の最大の保有者は日本銀行であることがわかります。
よって、空欄Xにはイが入ります。
〇空欄Y:正答エ「公開市場操作」
公開市場操作とは、中央銀行が国債などの有価証券を売買することで、
市場の資金量を調整する金融政策の手段です。
よって、空欄Yにはエが入ります。
なお、預金準備率操作とは、中央銀行が市中銀行に対して
預金準備率を変更することで、市中銀行の貸出能力を調整する金融政策の手段です。
市中銀行は、貸出額に対する一定割合の資金を中央銀行に預ける義務があります。
この割合を預金準備率といいます。
〇空欄Z:正答オ「量的・質的緩和政策の採用」
量的・質的緩和政策とは、中央銀行が長期国債などの資産を大量に購入することで、
市場に資金を供給し、経済活動を活発化させる金融政策です。
黒田緩和とも呼ばれ、2013年に日本銀行が採用しました。
よって、空欄Zにはオが入ります。
なお、日本版金融ビッグバンとは、1990年代後半から2000年代初頭にかけて
日本で実施された金融制度改革の総称です。
従来の護送船団方式からの脱却や、金融市場の自由化・国際化を目的としていました。
「X ― ア」、「Y ― ウ」が誤りです。
「X ― ア」、「Y ― ウ」、「Z ― カ」が誤りです。
「X ― ア」が誤りです。
「X ― ア」、「Z ― カ」が誤りです。
「Y ― ウ」が誤りです。
「Y ― ウ」、「Z ― カ」が誤りです。
正しいです。
「Z ― カ」が誤りです。
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