大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和6年度(2024年度)追・再試験
問5 (<旧課程>現代社会(第1問) 問5)
問題文
戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。
現代社会の授業で、先生は上のユネスコ憲章の前文を見せて、言いました。
「歴史的に、戦争は国家間で行われてきました。しかし、ユネスコ憲章では、戦争と平和の問題は、私たち個人の問題であるとされています。個人と国家とはどのような関係にあるでしょうか。また、戦争を防止または終結させるために、私たち個人や国家、さらには国際機関は、何をすべきでしょうか。」
翌週、3人の生徒がそれぞれ、発表プリントを用いて発表を行いました。
発表プリント
同じ国籍を有する者どうしでも、b 民族間のc 偏見や差別的思想が原因となって内戦が生じることがある。国家間の戦争だけでなく、内戦においても、d 人道に反するe ジェノサイド(集団殺害犯罪)が発生することがあった。
ジェノサイドを行った個人は、国際法上、刑事責任を負う。ニュルンベルク国際軍事裁判所は、国際法上の犯罪は、国家のような抽象的な実体によってではなく、人間によって行われるものであるから、そのような犯罪をおかした個人を処罰することによってのみ、国際法を実現することができる、との判断を示した。
下線部dに関して、人道を重視する考え方はヒューマニズムの思想に基づくことがあり、その思想の内容は時代により異なる点が見られる。次の説明文のアには後のA・Bの記述のいずれかが、イには後のC・Dの語句のいずれかが、ウには後のE・Fの語句のいずれかが入る。その組合せとして最も適当なものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
説明文
ルネサンス期におけるヒューマニズムの思想では、人間について、( ア )考え方が示されていた。この思想は、( イ )主義と呼ばれることがある。
現代のヒューマニズムの思想では、社会的に弱い立場にある人や異なる文化に属する人など、すべての人間を尊重するという考え方が示されている。この思想は人道主義と呼ばれることがある。さらに、ヒューマニズムの対象は人間以外の生命にまで広げられている。例えば、ガンディーは、( ウ )という考えに基づき、非暴力主義を唱えた。
アに入る記述
A 人間を神のもとに置き、人間の罪深さを強調する
B 人間の自由な意思を尊重し、人間の罪深さを強調しない
イに入る語句
C 人文
D 実存
ウに入る語句
E 超人
F アヒンサー
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和6年度(2024年度)追・再試験 問5(<旧課程>現代社会(第1問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。
現代社会の授業で、先生は上のユネスコ憲章の前文を見せて、言いました。
「歴史的に、戦争は国家間で行われてきました。しかし、ユネスコ憲章では、戦争と平和の問題は、私たち個人の問題であるとされています。個人と国家とはどのような関係にあるでしょうか。また、戦争を防止または終結させるために、私たち個人や国家、さらには国際機関は、何をすべきでしょうか。」
翌週、3人の生徒がそれぞれ、発表プリントを用いて発表を行いました。
発表プリント
同じ国籍を有する者どうしでも、b 民族間のc 偏見や差別的思想が原因となって内戦が生じることがある。国家間の戦争だけでなく、内戦においても、d 人道に反するe ジェノサイド(集団殺害犯罪)が発生することがあった。
ジェノサイドを行った個人は、国際法上、刑事責任を負う。ニュルンベルク国際軍事裁判所は、国際法上の犯罪は、国家のような抽象的な実体によってではなく、人間によって行われるものであるから、そのような犯罪をおかした個人を処罰することによってのみ、国際法を実現することができる、との判断を示した。
下線部dに関して、人道を重視する考え方はヒューマニズムの思想に基づくことがあり、その思想の内容は時代により異なる点が見られる。次の説明文のアには後のA・Bの記述のいずれかが、イには後のC・Dの語句のいずれかが、ウには後のE・Fの語句のいずれかが入る。その組合せとして最も適当なものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
説明文
ルネサンス期におけるヒューマニズムの思想では、人間について、( ア )考え方が示されていた。この思想は、( イ )主義と呼ばれることがある。
現代のヒューマニズムの思想では、社会的に弱い立場にある人や異なる文化に属する人など、すべての人間を尊重するという考え方が示されている。この思想は人道主義と呼ばれることがある。さらに、ヒューマニズムの対象は人間以外の生命にまで広げられている。例えば、ガンディーは、( ウ )という考えに基づき、非暴力主義を唱えた。
アに入る記述
A 人間を神のもとに置き、人間の罪深さを強調する
B 人間の自由な意思を尊重し、人間の罪深さを強調しない
イに入る語句
C 人文
D 実存
ウに入る語句
E 超人
F アヒンサー
- ア ― A イ ― C ウ ― E
- ア ― A イ ― C ウ ― F
- ア ― A イ ― D ウ ― E
- ア ― A イ ― D ウ ― F
- ア ― B イ ― C ウ ― E
- ア ― B イ ― C ウ ― F
- ア ― B イ ― D ウ ― E
- ア ― B イ ― D ウ ― F
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この過去問の解説 (2件)
01
【( ア )のポイント】
ルネサンス期におけるヒューマニズムについて、簡単に振り返っておきましょう。
宗教改革を思い出していただけると分かり易いと思いますが、この頃はカトリック教会の力が弱まり、そこからカトリック教会の価値観によるものではない思想が生まれていくことになります。つまり、神中心から人間中心とでもいうような、そんな考え方が芽生えていきました。これをヒューマニズム(人間中心主義)と言います。
→よって、入る選択肢は人間の自由な意思を尊重し、人間の罪深さを強調しないになります。
【( イ )のポイント】
人文主義と実存主義について振り返りましょう。
・人文主義:今までの価値観から人間性を解放し、人間らしい生き方を大切にする考え方。
・実存主義:機械化が進んだ産業革命の時期に誕生した、現実に存在する自分自身の生き方を問う哲学。
→この場合、人文主義が聞き慣れていなく困る人もいるかも知れませんが、実存主義が全く違う答えであることから、人文主義が解答になります。
【( ウ )のポイント】
アヒンサー(不殺生)がガンディーの思想です。
もう一つの選択肢の超人ですが、神のいない現代で無価値な人生を肯定的に生きようという人を、ニーチェはそう呼びました。
いかがでしょうか。
( ア )は文脈的なものから選択できたかも知れません。
その他、実存主義やアヒンサー(不殺生)は頻度の高い語句なので優先的に覚えておきましょう。
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02
〇空欄ア:正答B「人間の自由な意思を尊重し、人間の罪深さを強調しない」
ルネサンス期のヒューマニズムの思想では、カトリック教会の教えに対抗して、
人間の自由な意思を尊重し、人間の罪深さを強調しない考え方が示されていました。
よって、空欄アにはBが入ります。
〇空欄イ:正答C「人文」
ルネサンス期のヒューマニズムの思想は、
人文主義と呼ばれることがあります。
よって、空欄イにはCが入ります。
なお、実存主義は20世紀にサルトルを中心に展開された哲学思想であり、
ルネサンス期のヒューマニズムの思想とは異なります。
〇空欄ウ:正答F「アヒンサー」
ガンディーは、アヒンサー(非暴力)の考えに基づき、非暴力主義を唱えました。
よって、空欄ウにはFが入ります。
なお、超人はニーチェの思想に基づく概念です。
「ア ― A」「ウ ― E」が誤りです。
「ア ― A」が誤りです。
「ア ― A」「イ ― D」「ウ ― E」が誤りです。
「ア ― A」「イ ― D」が誤りです。
「ウ ― E」が誤りです。
正しいです。
「イ ― D」「ウ ― E」が誤りです。
「イ ― D」が誤りです。
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