大学入学共通テスト（公民） 過去問
令和5年度（2023年度）追・再試験
問10 (＜旧課程＞現代社会（第2問） 問4)

AとBは葛藤です。

Aの「接近―接近」は接近したい対象があるがそのいずれかを選択しなければならないことです。

Bの「接近―回避」は接近したい対象に避けたい対象が併存する状態のことです。

CとDは防衛機制です。

Cの投射は自分の短所を他人のものとみなして非難することです。

Dの合理化はもっともらしい理由をつけて正当化することです。

以上のことから、

アはB、

イはD、

ウはAであることが分かります。

以上を踏まえて各選択肢を検討していきます。

A…「接近―接近」は、2つ以上の魅力的(接近)な選択肢があり、選択に迷う状態です。

事例ウの、ライブに参加したい(接近)、しかし地元の花火大会にも行きたい(接近)、という状況に当てはまります。

B…「接近―回避」は、魅力的(接近)だが敬遠したい感情(回避)もあり、選択に迷う状態です。

事例アの、漫画を1冊だけ購入したい(接近)、しかし10巻セットは購入したくない(回避)、という状況に当てはまります。

C…「投射」は、怒りや不快感、罪悪感などの受け入れがたい自分の感情を、他人の過失として認識することです。

D…「合理化」は、不満や矛盾などの受け入れがたい自分の感情を、もっともらしい理由を付けて正当化することです。

事例イの、ケーキを食べたいが、自分自身に言い訳をして、ケーキを食べないことを納得させている状況に当てはまります。

この問題は、モリさんの購買行動を、防衛機制を用いて心理面から分析するものです。

防衛機制とは、危機や困難に直面した際に、自己の不安を和らげ、精神的安定を保つ心の働きのことです。

それぞれの事例について検討します。

◯事例ア　：　「接近ー回避」

・漫画の1冊だけ欲しいが、10巻セットでしか買えない。　　→接近

・1冊のために10巻セットを買うという出費はしたくない。　→回避

◯事例イ　：　合理化

・ケーキを食べたいのに買えないという事実を、自分には合わないだろうと考えることにより、納得している。

→合理化（手にすることのできない欲求を、もっともらしい理由で正当化する）

◯事例ウ　：　「接近ー接近」

・アーティストのライブに行きたいという欲求　→接近

　　VS.　

・地元の花火大会に行きたいという欲求　　　→接近