大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問48 (<旧課程>倫理(第3問) 問2)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問48(<旧課程>倫理(第3問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

以下を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのF、G、先生は各々全て同じ人物である。

次の会話は、「考えること」をテーマにした倫理の授業中に、ルネサンス期の「魔女狩り」の光景を描いた絵画をめぐって先生と高校生Fが交わしたものである。

先生:魔女狩りでは、国家とキリスト教会に一般の人々も数多く加わって、罪のない人々を魔女とみなし、この絵のように火刑に処するなどしました。
F:人間「再生」の時代と言われるa ルネサンス期にも、こんな側面があったのですね…。人々は、自分が間違っていると考えなかったのかな。
先生:そう、多くの人々が自分たちの判断に正当な根拠があるかを考えず、ある種の思考停止状態に陥って少数の人々を迫害したのが魔女狩りであったとすれば、同様なことは今日でも十分に起こり得るでしょう。
F:例えば、( a )ような場合ですね。考えることを止(や)めてしまったら、自分も現代版の魔女狩りに加担しかねない…。他人事(ひとごと)ではないなあ。

会話中の( a )に入る事例として適当でないものを、次のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 多くの人々が、眼前の困難に向き合う責任をただ回避するために、その困難の原因は特定の集団にあると根拠なく決め付けて、彼らを攻撃する
  • 多くの人々が、思想や信条の異なる人々を自分たちとは異なるというだけで迫害し、そうすることで自分たちの正しさを信じ込もうとする
  • 権力者が自分に対する社会の不満をかわす意図で敵に仕立てた人物を、多くの人々が、権力者の言うままに不満の原因と思い込み、糾弾する
  • 世の中に広がっている漠然とした不安を自分なら解消できると主張する人物を、多くの人々が、その主張の根拠を確かめないまま熱狂的に支持する

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この過去問の解説 (2件)

01

先生と高校生Fが交わした会話文を読み、会話中の( a )に入る記述を考える問題です。

会話文より「現代版の魔女狩りに加担しかねない」ことを危惧する内容だと読み取れるので、それに対応する例を以下より選びます。

選択肢1. 多くの人々が、眼前の困難に向き合う責任をただ回避するために、その困難の原因は特定の集団にあると根拠なく決め付けて、彼らを攻撃する

この選択肢の記述は、⭕️適切です。

「根拠なく決め付けて、彼らを攻撃する」という記述があるので、魔女狩りと同様に思考することをやめてしまう行為といえます。

選択肢2. 多くの人々が、思想や信条の異なる人々を自分たちとは異なるというだけで迫害し、そうすることで自分たちの正しさを信じ込もうとする

この選択肢の記述は、⭕️適切です。

「自分たちとは異なるというだけで迫害し、自分たちを正しいと信じ込む」という記述も、異なるというだけで異常だと思い込み、自分たちの正当性を疑わないという点において思考停止になっている状態です。

選択肢3. 権力者が自分に対する社会の不満をかわす意図で敵に仕立てた人物を、多くの人々が、権力者の言うままに不満の原因と思い込み、糾弾する

この選択肢の記述は、⭕️適切です。

「権力者の言うままに不満の原因と思い込み、糾弾する」という記述が、権力のある者を疑わず、思考停止になっていることが魔女狩りの構造と共通しています。

選択肢4. 世の中に広がっている漠然とした不安を自分なら解消できると主張する人物を、多くの人々が、その主張の根拠を確かめないまま熱狂的に支持する

正しいです。

 

この選択肢の記述は、❌不適切です。

この選択肢の記述は、糾弾ではなく、根拠を確かめずに熱狂的に支持している状況であり、魔女狩りとは異なります。

これは、ポピュリズム(大衆迎合的な政治)に近い現象です。

 

まとめ

本問題では、中世において「魔女」と決めつけられた人々が迫害されたという歴史的な事実をもとに現代においても自ら「考え続けることの大切さ」を伝えています。

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02

「多くの人々が自分たちの判断に正当な根拠があるかを考えず、ある種の思考停止状態に陥って少数の人々を迫害」する場合にあてはまらない例を選ぶ問題です。

選択肢1. 多くの人々が、眼前の困難に向き合う責任をただ回避するために、その困難の原因は特定の集団にあると根拠なく決め付けて、彼らを攻撃する

誤りです。

 

根拠なく攻撃を行っているので、例として適当です。

選択肢2. 多くの人々が、思想や信条の異なる人々を自分たちとは異なるというだけで迫害し、そうすることで自分たちの正しさを信じ込もうとする

誤りです。

 

合理的な根拠なく攻撃を行っているので、例として適当です。

選択肢3. 権力者が自分に対する社会の不満をかわす意図で敵に仕立てた人物を、多くの人々が、権力者の言うままに不満の原因と思い込み、糾弾する

誤りです。

 

権力者の言うことの正しさを考えることなく攻撃を行っているので、例として適当です。

選択肢4. 世の中に広がっている漠然とした不安を自分なら解消できると主張する人物を、多くの人々が、その主張の根拠を確かめないまま熱狂的に支持する

正しいです。

 

熱狂的に支持するにとどまり、攻撃を行っていないので例として不適当です。

まとめ

(a)にあてはまる例を確かめたうえで、選択肢を吟味しましょう。

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