大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問4 (<旧課程>現代社会(第1問) 問4)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問4(<旧課程>現代社会(第1問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生のカワカミさんは、地方自治体が行っている業務に興味をもっている。そこで、自分の住んでいる市の市役所で三日間の就業体験に参加し、活動の記録カードを日ごとに作成した。次の記録カードを読み、後の問いに答えよ。

記録カード

【第2日目】 選挙管理委員会の事務局を訪問・話合いに参加
市長選挙(市長選)および市議会議員選挙(市議選)の結果について説明を受けた。また、夏に行われる参議院議員選挙(参院選)について、啓発ポスターについての話合いに参加した。その際に、市長選や市議選と同じく個人名での投票ができるけれども当選者の決定方法が異なる、参院選の比例代表区の仕組みや各選挙区の定数、有権者人口の変遷などについて説明を受けた。

■メモ・考察
・参院選比例代表区で用いられている非拘束名簿式の仕組みについて、以下の定数3の簡単な例を用いて整理すると、二つのことに気付いた。

カワカミさんは、職員から説明を受けるなかで、「人口が増えてくると、一票の価値が変化するという憲法上の問題が生じることもある」と聞いたことを思い出し、「一票の格差」問題について調べた。日本の国政選挙において、一票の格差を縮めるために採られ得る対応として考えられるものを、次のサ~スからすべて選んだとき、その組合せとして最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。ただし、選択肢以外の対応は採られないものとする。

サ  議員定数1人あたりの人口が少ない複数の選挙区を合区し、合区後の選挙区の議員定数を、合区される選挙区の議員定数の和よりも減らす。
シ  各都道府県の人口とは無関係に、あらかじめ各都道府県に議員定数1を配分する。
ス  議員定数1人あたりの人口が少ない選挙区の議員定数を増やす。
問題文の画像
  • サとシとス
  • サとシ
  • サとス
  • シとス
  • 考えられるものはない

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この過去問の解説 (2件)

01

一票の格差」問題についての基本的な理解と、その解決策について問われています。

 

まず、簡単に整理すると、「一票の格差」とは議員定数が同じである場合、

人口が少ない地域では、人口が多い地域に比べて一票の価値が重くなり、反対に、人口が多い地域では、一票の価値が軽くなるため憲法上の平等に反するのではないかという問題です。

 

例を挙げましょう。

 

以下の選挙区で考えます。

・地方の選挙区A地区・・・人口30万人

・都市圏の選挙区B地区・・・人口60万人

→この両地域では当選者が1人とします。

 

<問い>

上記の場合、投票した人の1票の価値は、どちらの地域で重くなるでしょうか。

 

<答え>

⇒A地区では30万人で1人に対し、B地区は60万人に対し1人が選ばれるため、A地区は1票の価値が重くなり、B地区は1票の価値が軽くなります。

 

以下の表を参考にしてください。

◎一票の価値は、定数÷人口で計算できます。

 

 AB
人口30万60万
定数11
価値の重み0.03333(1÷30)0.01666...(1÷60)

 

★実際に手を動かして計算してみると、「一票の格差」が起きてしまう現象が理解しやすくなると思います。

 

 

選択肢5. サ

正しい組み合わせです。

 

サ ○正しいです。実際に参議院議員選挙で行われていました。(徳島・高知、鳥取・島根)

 

シ ×誤りです。都道府県の人口はそれぞれで異なるにもかかわらず、定数1を固定で配分してしまうと、人口に比例しないため、人口が多い選挙区と少ない選挙区でさらに格差が拡大してしまいます。

 

ス ×誤りです。人口が少ない選挙区の議員定数を増やしてしまうと、一票の価値が重い選挙区の議員がさらに増えてしまうため、一票の格差がより拡大してしまいます。

まとめ

一票の格差の原理:定数に対して、人口が多くなればなるほど、一票の価値が軽くなります。反対に、人口の少ない地域では、一票の価値が重くなります。

この原理を理解すると、どうすれば格差が解決できるか、またはなぜ解決できないのかが導き出せます。

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02

一票の格差に関する問題です。

一票の格差とは、選挙区ごとに人口が異なることから、一票の重み(自分の投票が全体の結果におよぼす影響力の大きさ)が異なってしまうことです。

 

サ 正しいです。人口が少ないと一票の重みが重くなるので、人口の少ない自治体を合併し、定数を決める合区を設置することで一票の格差を改善することができます。

シ 誤りです。この方式では人口が多い都道府県も少ない都道府県も同様に1人を選ぶことになるので、一票の格差が大きくなります。

ス 誤りです。人口が少ない選挙区で議員定数を増やすと、一票の重みがさらに大きくなり、さらに一票の格差が大きくなります。

 

よって、サのみ正しいです。

選択肢1. サとシとス

誤りです。

選択肢2. サとシ

誤りです。

選択肢3. サとス

誤りです。

選択肢4. シとス

誤りです。

選択肢5. サ

正しいです。

選択肢6. シ

誤りです。

選択肢7. ス

誤りです。

選択肢8. 考えられるものはない

誤りです。

まとめ

一票の格差が何かわかっていれば、それぞれの選択肢の内容を考えることで答えが導き出せたでしょう。

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