大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問3 (現代社会(第1問) 問3)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問3(現代社会(第1問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生のカワカミさんは、地方自治体が行っている業務に興味をもっている。そこで、自分の住んでいる市の市役所で三日間の就業体験に参加し、活動の記録カードを日ごとに作成した。次の記録カードを読み、後の問いに答えよ。

記録カード

【第2日目】 選挙管理委員会の事務局を訪問・話合いに参加
市長選挙(市長選)および市議会議員選挙(市議選)の結果について説明を受けた。また、夏に行われる参議院議員選挙(参院選)について、啓発ポスターについての話合いに参加した。その際に、市長選や市議選と同じく個人名での投票ができるけれども当選者の決定方法が異なる、参院選の比例代表区の仕組みや各選挙区の定数、有権者人口の変遷などについて説明を受けた。

■メモ・考察
・参院選比例代表区で用いられている非拘束名簿式の仕組みについて、以下の定数3の簡単な例を用いて整理すると、二つのことに気付いた。

( カ )~( ク )に当てはまる候補者の組合せとして最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • カ:T候補  キ:S候補  ク:U候補
  • カ:T候補  キ:U候補  ク:S候補
  • カ:U候補  キ:S候補  ク:T候補
  • カ:U候補  キ:S候補  ク:W候補
  • カ:W候補  キ:U候補  ク:S候補
  • カ:W候補  キ:U候補  ク:T候補

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この過去問の解説 (2件)

01

比例代表制で用いられるドント式の計算方法が出てくる問題です。

表を確認しながら、計算していく力が求められています。

選択肢1. カ:T候補  キ:S候補  ク:U候補

誤りです。

正しくは、「カ:U候補  キ:S候補  ク:T候補」となります。

選択肢3にて詳しく解説します。

選択肢2. カ:T候補  キ:U候補  ク:S候補

誤りです。

選択肢3. カ:U候補  キ:S候補  ク:T候補

正しいです。

実際の計算方法を確認してみましょう。

一見難しそうに見えますが、足し算と割り算を使うだけで解くことができます。


◆表(1)に基づいた計算方法(ドント式)

表の左半分(1)の説明を読み、順を追って計算していきます。

 

【手順1】

説明されたこと(1)より、「政党名での得票と個人名での得票を合わせて各党の票数とし」とあるので、

その通り計算します。

(例)

O党の場合:政党名での得票が10万票、個人名での得票がR候補:65万票、U候補:5万票なので、全てを足し合わせると、

合計80万票となります。

 

各党について、同じ手順を行います。

結果は、次の通りとなります。

 

O党P党Q党
804139

 

 

【手順2】

続いて、「÷1, ÷2, ÷3…と自然数で割って」とあるので、【手順1】で足し合わせた合計をそれぞれ割ります。

(例)O党の場合:80÷1, 80÷2, 80÷3...

結果は、次の通りとなります。

 

 O党P党Q党
÷180★41★39
÷240★20.519.5
÷326.6713.6666...13

 

【手順3】

商の大きい順に議席を配分します。

問題の設定では定数3なので、O党2議席、P党1議席、Q党0議席となります。

★が獲得した議席です。)

 

【手順4】

説明されたこと(1)より、「各候補者のうち個人名での得票の大きな候補者から当選する」と説明されているため、

それに従い当選者を決めます。

問題文の表を確認し、O党からは、R候補(65万獲得)が1番当選、U候補(5万獲得)が2番当選となることが分かります。

P党からは、S候補(13万獲得)が1番当選となります。

 

したがって、カ、キに入るのは、U候補、またはS候補となります。

→さらに、「気づいたこと(1)」より、

「落選したV候補者(8万票)はカより多い」とあるので、カ=U, キ=Sと確定します。

 

上記のような計算方法をドント式といいます。

 

◆表(2)に基づいた計算方法(サンラグ式)

 

表の右半分(2)に基づき、計算していきます。

手順は、(1)とほぼ同じですが、【手順2】のみ異なります。

奇数で割っていくとありますので、÷1, ÷3, ÷5…と割り算します。

手順は上記と同じなので省略しますが、結果は以下のようになります。

 

 O党P党Q党
÷180★41★39★
÷326.6713.6666...13
÷5168.27.8

 

計算結果から、★がついた部分を見ると、(1)と異なることが分かります。

(2)では獲得議席数は、それぞれO党1議席、P党1議席、Q党1議席となりました。

それぞれ個人名での得票の大きな候補者から当選するので、当選者はR候補(65万獲得)、S候補(13万獲得)、T候補(5万獲得)となります。

 

したがって、ク=T候補です。

→正しい選択肢は③となります。

※この計算方式はサンラグ式と言われ、

修正サンラグ式も含め、海外(ニュージーランドや北欧諸国)で採用されています。

 

日本では、ドント式が採用されていますが、

計算結果からも分かるように、それぞれ以下の特徴があります。

 

(1)ドント式→大政党に有利

(2)サンラグ式→少数政党に有利

選択肢4. カ:U候補  キ:S候補  ク:W候補

誤りです。

選択肢5. カ:W候補  キ:U候補  ク:S候補

誤りです。

選択肢6. カ:W候補  キ:U候補  ク:T候補

誤りです。

まとめ

実際に計算が必要な問題ですが、必要な算術は、簡単な足し算や割り算です。

ドント式を覚えていなくても、問題文の説明に従い、順を追って計算していけば、正解が導き出せます。

しかし、ドント式の計算方式に慣れておくに越したことはありません。

この手の問題が出てきても惑わされずに点を獲得できるよう、ドント式の計算を確認しておきましょう。

参考になった数0

02

参議院議員選挙で採用されている非拘束名簿式比例代表制に関する問題です。

奇数で割っていくのはサン・ラグ制で、少数政党に有利という批判があるため、修正サン・ラグ制が北欧で採用されています。

 

〇ドント式

まず、各党ごとに得票数の合計を計算します。

次に、順に÷1、÷2をしていきます。

すると、以下のようになります。

 O党P党Q党
政党名10万20万30万
個人名R 65万S 13万T 5万
U 5万V 8万W 4万
合計80万41万39万
÷180万41万39万
÷240万20.5万19.5万

定数は3なので、割った数から多い順に選ぶと、O党2人、P党1人、Q党0人となります。各党の中から得票数の多い人が順に選ばれます。

そのため、R、U、Sが当選となります。

 

〇サン・ラグ式

まず、各党ごとに得票数の合計を計算します。

次に、順に÷1、÷3をしていきます。

すると、以下のようになります。

 O党P党Q党
政党名10万20万30万
個人名R 65万S 13万T 5万
U 5万V 8万W 4万
合計80万41万39万
÷180万41万39万
÷326.7万13.7万13万

定数は3なので、割った数から多い順に選ぶと、O党1人、P党1人、Q党1人となります。各党の中から得票数の多い人が順に選ばれます。

そのため、R、S、Tが当選となります。

 

以上より、カ:U、キ:S、ク:Tとなります。

選択肢1. カ:T候補  キ:S候補  ク:U候補

誤りです。

選択肢2. カ:T候補  キ:U候補  ク:S候補

誤りです。

選択肢3. カ:U候補  キ:S候補  ク:T候補

正しいです。

選択肢4. カ:U候補  キ:S候補  ク:W候補

誤りです。

選択肢5. カ:W候補  キ:U候補  ク:S候補

誤りです。

選択肢6. カ:W候補  キ:U候補  ク:T候補

誤りです。

まとめ

地道に計算していけば解けた問題です。

ドント式の計算方法は押さえておきましょう。

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