大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和7年度(2025年度)追・再試験
問23 (公共,倫理(第6問) 問2)
問題文
J:この食堂は、(a)多様な文化を背景にもつ学生の要望に応えるために、以前にはなかったメニューをそろえているね。Kさん、Lさんのような留学生の目から見て、新しい食堂はどうですか?
K:私の生まれた国では、宗教的な理由で、ある種の動物の肉は食べてはいけないのです。なので、今度の食堂は、いろいろな選択肢があって助かります。
L:私は仏教学を学びに日本に来たのだけど、ある宗派の考え方にすっかり共鳴して、自宅では精進料理を作っています。今度の食堂は、私も嬉しい。
J:そうなんですね。お二人にとって、その食習慣はとても大切なんですね。
K:私は何年も日本に住んでいて、日本の習慣が身についてきているので、逆に、親の生まれ育った国の伝統をしっかりそのまま受け継ぎたいです。
L:私は、自分の親の宗教ではなく、今修行している宗派を信じたいし、その伝統に合わせた食事がしたいのです。でもKさんは、なぜ親の伝統を受け継がないといけないと思うのですか?
K:それは、(b)自分が自分であるためにです。
L:私としては、自分が選んだ宗派の教えを通して、自分のアイデンティティを作りたいです。(c)外国人には日本の文化はわかるはずないよと、日本人に言われることもあるけど、その考え方には傷つくし、とても納得できません。
J:それはひどい話ですね。一方で、自分の文化を継承させることを当然と思って、(d)子どもに伝統を受け継ぐかどうかの選択をさせない親もいますよね。
K:確かに!私の知り合いのなかに、文化的な理由から、自分の子どもを日本の学校に行かせたくないと考えている親もいます。
L:どういう学校に行きたいか、その子自身が選ばなくていいのでしょうかね?
J:そういえば、Kさんの弟さんは日本の公立中学校に通っているんですよね。(e)給食で苦労してないのですか?
K:お弁当を持ってきてよいと言われていて、弟はそんなに苦労はしていないけど、気にしている人もいるかもしれない。
下線部(b)に関連して、大学生Kは以前からサンデルの本を読み、彼の思想に賛同していた。下線部(b)の発言がサンデルの思想に基づいたものとした場合、Kの考え方の説明として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和7年度(2025年度)追・再試験 問23(公共,倫理(第6問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
J:この食堂は、(a)多様な文化を背景にもつ学生の要望に応えるために、以前にはなかったメニューをそろえているね。Kさん、Lさんのような留学生の目から見て、新しい食堂はどうですか?
K:私の生まれた国では、宗教的な理由で、ある種の動物の肉は食べてはいけないのです。なので、今度の食堂は、いろいろな選択肢があって助かります。
L:私は仏教学を学びに日本に来たのだけど、ある宗派の考え方にすっかり共鳴して、自宅では精進料理を作っています。今度の食堂は、私も嬉しい。
J:そうなんですね。お二人にとって、その食習慣はとても大切なんですね。
K:私は何年も日本に住んでいて、日本の習慣が身についてきているので、逆に、親の生まれ育った国の伝統をしっかりそのまま受け継ぎたいです。
L:私は、自分の親の宗教ではなく、今修行している宗派を信じたいし、その伝統に合わせた食事がしたいのです。でもKさんは、なぜ親の伝統を受け継がないといけないと思うのですか?
K:それは、(b)自分が自分であるためにです。
L:私としては、自分が選んだ宗派の教えを通して、自分のアイデンティティを作りたいです。(c)外国人には日本の文化はわかるはずないよと、日本人に言われることもあるけど、その考え方には傷つくし、とても納得できません。
J:それはひどい話ですね。一方で、自分の文化を継承させることを当然と思って、(d)子どもに伝統を受け継ぐかどうかの選択をさせない親もいますよね。
K:確かに!私の知り合いのなかに、文化的な理由から、自分の子どもを日本の学校に行かせたくないと考えている親もいます。
L:どういう学校に行きたいか、その子自身が選ばなくていいのでしょうかね?
J:そういえば、Kさんの弟さんは日本の公立中学校に通っているんですよね。(e)給食で苦労してないのですか?
K:お弁当を持ってきてよいと言われていて、弟はそんなに苦労はしていないけど、気にしている人もいるかもしれない。
下線部(b)に関連して、大学生Kは以前からサンデルの本を読み、彼の思想に賛同していた。下線部(b)の発言がサンデルの思想に基づいたものとした場合、Kの考え方の説明として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
- 個人は、共同体のもつ伝統から独立した「負荷なき自己」である。それゆえ、同じ共同体に生きる人々の間で価値観の相違が生じている場合、共同体は、個人を共同体のもつ共通善の価値に拘束しないようにすべきである。
- 個人は、共同体のもつ伝統から独立した「負荷なき自己」である。しかし、同じ共同体に生きる人々の間で価値観の相違が生じている場合、共同体は、個人が共同体のもつ共通善の価値を尊重するようにすべきである。
- 個人は、共同体のもつ伝統に「位置(状況)づけられた自己」である。それゆえ、同じ共同体に生きる人々の間で価値観の相違が生じている場合、共同体は、個人が共同体のもつ共通善の価値を尊重するようにすべきである。
- 個人は、共同体のもつ伝統に「位置(状況)づけられた自己」である。しかし、同じ共同体に生きる人々の間で価値観の相違が生じている場合、共同体は、個人を共同体のもつ共通善の価値に拘束しないようにすべきである。
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