大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和7年度(2025年度)本試験
問41 (公共,政治・経済(第4問) 問2)
問題文
X:新型コロナウイルスの世界的な拡散や、ロシアのウクライナ侵攻などは、これまでの国際的な制度や取決めに基づく国際秩序に見直しを求めるもののようにみえるけど、どうだろう。新型コロナウイルスの感染拡大は、先進主要各国に(a)緊急の歳出拡大を迫ったという以上に、(b)経済のグローバル化に潜むリスクを表面化させたといえるんじゃないかな。
Y:そうかな、2008年の世界金融危機も大きな混乱を世界経済にもたらしたし、新型コロナウイルスによる混乱が特別といえるのかな。
X:新型コロナウイルスの感染拡大の場合には、(c)世界経済の分断が懸念されたところが特殊で、その点が重要だと思うよ。
Y:ロシアのウクライナ侵攻については、どうかな。軍事侵攻をめぐる問題はこれまでにもみられたけど、1990年のイラクのクウェート侵攻では国際連合(国連)の安全保障理事会(安保理)が対応したよね。
X:ロシアのウクライナ侵攻では、領土の違法な併合を試みたのが安保理常任理事国だった点で、ほかの事例とは区別すべきだよ。(d)国際刑事裁判所(ICC)の検察官が早くから捜査に乗り出したのも、この事件の特殊性を示していると思うよ。
Y:今回の軍事侵攻では、国連、とくに安保理が十分に対応できなかったのはやっぱり問題だよね。(e)国連憲章に基づく秩序に対する信頼をどうやって維持していくか、考えていかないといけないね。
X:国連憲章は国際平和とともに、基本的人権の尊重も目的としているね。そのためには、民主主義の世界的な実現と定着が重要だと思うけど、どうかな。
Y:その点を考える上では、2011年頃に始まった(f)「アラブの春」に注目したいね。どのような政治体制を選ぶかは、各国の国民に委(ゆだ)ねられているけれど、民主主義国家間では戦争は起きないという考えもあるし、民主主義が世界的に定着することは、安定した国際秩序を維持するために重要だと思うよ。
下線部(b)に関連して、生徒Xと生徒Yは、日本、アメリカ、インド、韓国、中国、ドイツの2000年以降の貿易収支と一人当たりGDP(国内総生産)との推移を示した次の六つの図を作成し、これらの図をみながら話をしている。後の会話文を踏まえ、国名と図との組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
X:図をみると、日本の貿易収支は黒字から赤字に転じることもあったね。そして、一人当たりGDPの伸びも停滞気味だね。
Y:それに対して、隣国の韓国は20世紀末の経済危機を克服し、今世紀以降、貿易収支の黒字を重ねているよ。一人当たりGDPでも韓国は日本とほぼ並んできているね。また、ドイツは、これまで一人当たりGDPが堅調に推移し、貿易収支も黒字が続いてきたようだね。
X:GDPで世界第1位のアメリカと世界第2位の中国の貿易収支の動きはきわめて対照的だね。それにしても、中国の貿易収支の動きと一人当たりGDPの伸びには驚くばかりだね。
Y:インドも一人当たりGDPは大きく伸びているね。ただし、インドの貿易収支は毎年赤字を計上しているよ。今後、インド経済も中国経済に続くのかな。
X:世界経済の構図はこれから大きく変わるかもしれないね。
Y:ロシアのウクライナ侵攻もあったし、これまでの経済のグローバル化も曲がり角に来ているのかもしれないね。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和7年度(2025年度)本試験 問41(公共,政治・経済(第4問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
X:新型コロナウイルスの世界的な拡散や、ロシアのウクライナ侵攻などは、これまでの国際的な制度や取決めに基づく国際秩序に見直しを求めるもののようにみえるけど、どうだろう。新型コロナウイルスの感染拡大は、先進主要各国に(a)緊急の歳出拡大を迫ったという以上に、(b)経済のグローバル化に潜むリスクを表面化させたといえるんじゃないかな。
Y:そうかな、2008年の世界金融危機も大きな混乱を世界経済にもたらしたし、新型コロナウイルスによる混乱が特別といえるのかな。
X:新型コロナウイルスの感染拡大の場合には、(c)世界経済の分断が懸念されたところが特殊で、その点が重要だと思うよ。
Y:ロシアのウクライナ侵攻については、どうかな。軍事侵攻をめぐる問題はこれまでにもみられたけど、1990年のイラクのクウェート侵攻では国際連合(国連)の安全保障理事会(安保理)が対応したよね。
X:ロシアのウクライナ侵攻では、領土の違法な併合を試みたのが安保理常任理事国だった点で、ほかの事例とは区別すべきだよ。(d)国際刑事裁判所(ICC)の検察官が早くから捜査に乗り出したのも、この事件の特殊性を示していると思うよ。
Y:今回の軍事侵攻では、国連、とくに安保理が十分に対応できなかったのはやっぱり問題だよね。(e)国連憲章に基づく秩序に対する信頼をどうやって維持していくか、考えていかないといけないね。
X:国連憲章は国際平和とともに、基本的人権の尊重も目的としているね。そのためには、民主主義の世界的な実現と定着が重要だと思うけど、どうかな。
Y:その点を考える上では、2011年頃に始まった(f)「アラブの春」に注目したいね。どのような政治体制を選ぶかは、各国の国民に委(ゆだ)ねられているけれど、民主主義国家間では戦争は起きないという考えもあるし、民主主義が世界的に定着することは、安定した国際秩序を維持するために重要だと思うよ。
下線部(b)に関連して、生徒Xと生徒Yは、日本、アメリカ、インド、韓国、中国、ドイツの2000年以降の貿易収支と一人当たりGDP(国内総生産)との推移を示した次の六つの図を作成し、これらの図をみながら話をしている。後の会話文を踏まえ、国名と図との組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
X:図をみると、日本の貿易収支は黒字から赤字に転じることもあったね。そして、一人当たりGDPの伸びも停滞気味だね。
Y:それに対して、隣国の韓国は20世紀末の経済危機を克服し、今世紀以降、貿易収支の黒字を重ねているよ。一人当たりGDPでも韓国は日本とほぼ並んできているね。また、ドイツは、これまで一人当たりGDPが堅調に推移し、貿易収支も黒字が続いてきたようだね。
X:GDPで世界第1位のアメリカと世界第2位の中国の貿易収支の動きはきわめて対照的だね。それにしても、中国の貿易収支の動きと一人当たりGDPの伸びには驚くばかりだね。
Y:インドも一人当たりGDPは大きく伸びているね。ただし、インドの貿易収支は毎年赤字を計上しているよ。今後、インド経済も中国経済に続くのかな。
X:世界経済の構図はこれから大きく変わるかもしれないね。
Y:ロシアのウクライナ侵攻もあったし、これまでの経済のグローバル化も曲がり角に来ているのかもしれないね。
- インド ― 図ア 韓国 ― 図イ 中国 ― 図ウ
- インド ― 図ア 韓国 ― 図エ 中国 ― 図ウ
- インド ― 図イ 韓国 ― 図ア 中国 ― 図エ
- インド ― 図イ 韓国 ― 図ウ 中国 ― 図エ
- インド ― 図ウ 韓国 ― 図イ 中国 ― 図ア
- インド ― 図ウ 韓国 ― 図エ 中国 ― 図ア
- インド ― 図エ 韓国 ― 図ア 中国 ― 図イ
- インド ― 図エ 韓国 ― 図ウ 中国 ― 図イ
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説
前の問題(問40)へ
令和7年度(2025年度)本試験 問題一覧
次の問題(問42)へ