大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和7年度(2025年度)本試験
問21 (公共,倫理(第6問) 問1)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和7年度(2025年度)本試験 問21(公共,倫理(第6問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

生徒Hと生徒Jは、戦争と平和について対話をした。次の会話文を読み、後の問いに答えよ。

H:この前、親戚のおじさんが語っていたよ。「いま日本が平和なのは、戦後に人々が反省し、(a)暴力による問題の解決を放棄したからだ。だが、その記憶は薄れつつある。戦争について語ろうものなら、怪訝(けげん)な顔をされる始末だ。やがて、誰も平和について考えなくなるだろう。社会の趨勢(すうせい)が戦争に傾き始めても、人々は疑問を抱かずに戦争に加担してしまうかもしれない」って。
J:その主張は、( ア )という意見と解釈できて、まさにフーコーによる近代への批判と同じだ。ただ、私はおじさんの主張は少し見方が狭いと思うな。
H:確かに、フーコーに通じるものがあるね。でも、なんでそう思うの?
J:だって、今の世界は全然平和ではないもの。ほかの国に目を向ければ、いろいろなところで戦闘が起きているし、罪のない人々の権利が侵害されている。
H:でも、それって外国の話だと思うけど。
J:いやいや、そうした人たちだって同じ人間だよ。(b)他国で起きている戦争や紛争についても真剣に考えるべきだし、たとえ戦闘が起きていなくても、そこに生きる人々が人間らしい生活を送れているかを気遣うべきじゃないかな。
H:よく考えたら、人々の平和を脅かすものは戦争や紛争だけじゃないよね。(c)一国の中でも、虐殺が行われて、民間人が犠牲になることもある。
J:でも、そうした問題を解決するにはどうしたらいいんだろう。民間人が権力者と戦おうとしたら、かえって悲惨なことが起きるかも知れない。でも、支配されるままでいても、平和は実現されない…。どう思う?
H:そうだなぁ…。正直、そんな風にしっかりと考えたことがなかったよ。でも、たとえ平和のために戦うことが必要だとしても、武力で戦ったり、人を傷つけたりすることだけが全てではないと思う。(d)もっと違う形で、暴力に抵抗することもできるんじゃないかな。
J:そう考えると、どうやって平和を実現するかって、本当に複雑な問題だよね。今度、先生と話してみようかな。

下線部(a)に関連して、非暴力的な手段で問題の解決を訴えた人物とその思想を説明したものとして、最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
  • トルストイは、貧しい農民に共感して地主としての自らの特権を放棄し、不正な社会格差の是正を人道主義の立場から訴え続け、『戦争と平和』などを執筆したロシアの作家である。
  • ロマン・ロランは、第一次世界大戦の後に台頭した全体主義に反対し、各国の協力体制による世界平和を訴えて、国際連盟や国際連合の理念の源ともなった『永遠平和のために』などを執筆したフランスの作家である。
  • ガンディーは、イギリスの植民地支配からのインドの脱却を目指して活動し、投獄される度に断食で抵抗しながら、死の恐怖に煩わされない心で活動に取り組むアタラクシアの理念を掲げ、独立を達成したインドの思想家である。
  • キング牧師は、黒人の参政権成立後も残る人種差別に抗議し、どの生命も尊ばれるべきであるとする「生命への畏敬」の理念を掲げ、ワシントン大行進を行い、公民権運動を主導したアメリカの活動家である。

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この過去問の解説 (2件)

01

非暴力的な手段で問題の解決を訴えた人物とその思想についての問題です。

選択肢1. トルストイは、貧しい農民に共感して地主としての自らの特権を放棄し、不正な社会格差の是正を人道主義の立場から訴え続け、『戦争と平和』などを執筆したロシアの作家である。

適当です。
 

トルストイは非暴力主義者として知られ、政治・社会に大きな影響を与えました。
 

選択肢2. ロマン・ロランは、第一次世界大戦の後に台頭した全体主義に反対し、各国の協力体制による世界平和を訴えて、国際連盟や国際連合の理念の源ともなった『永遠平和のために』などを執筆したフランスの作家である。

不適当です。


国際連盟や国際連合の理念の源ともなった『永遠平和のために』などを執筆したのは、

近代哲学の基礎を築いたドイツの哲学者、カントです。


ロマン・ロランは、

ベートーヴェンをモデルにした大河小説『ジャン・クリストフ』をはじめ、

ヒューマニズムの立場に立った作品を発表しました。
 

選択肢3. ガンディーは、イギリスの植民地支配からのインドの脱却を目指して活動し、投獄される度に断食で抵抗しながら、死の恐怖に煩わされない心で活動に取り組むアタラクシアの理念を掲げ、独立を達成したインドの思想家である。

不適当です。
 

死の恐怖に煩わされない心で活動に取り組むアタラクシアの理念を掲げたのは、

古代ギリシャ哲学の思想家たちです。

 

ガンディーは、「非暴力・不服従」の理念を掲げました。
 

選択肢4. キング牧師は、黒人の参政権成立後も残る人種差別に抗議し、どの生命も尊ばれるべきであるとする「生命への畏敬」の理念を掲げ、ワシントン大行進を行い、公民権運動を主導したアメリカの活動家である。

不適当です。
 

どの生命も尊ばれるべきであるとする「生命への畏敬」の理念を掲げたのは、

アフリカでの医療活動に生涯を捧げたドイツ人医師、シュヴァイツァーです。


キング牧師「I Have a Dream」の演説を行い、

人種差別の撤廃、平等な社会の実現を訴えました。
 

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02

非暴力的な手段で問題の解決を訴えた人物の思想についての問題です。

選択肢1. トルストイは、貧しい農民に共感して地主としての自らの特権を放棄し、不正な社会格差の是正を人道主義の立場から訴え続け、『戦争と平和』などを執筆したロシアの作家である。

正文です。
トルストイについて知識で深く問われることはないでしょうから、
この選択肢程度の内容を押さえておけばOKです。

選択肢2. ロマン・ロランは、第一次世界大戦の後に台頭した全体主義に反対し、各国の協力体制による世界平和を訴えて、国際連盟や国際連合の理念の源ともなった『永遠平和のために』などを執筆したフランスの作家である。

誤文です。
永遠平和のために』はカントの著書です。

選択肢3. ガンディーは、イギリスの植民地支配からのインドの脱却を目指して活動し、投獄される度に断食で抵抗しながら、死の恐怖に煩わされない心で活動に取り組むアタラクシアの理念を掲げ、独立を達成したインドの思想家である。

誤文です。
「死の恐怖に煩わされない心で活動に取り組むアタラクシアの理念」はエピクロスが唱えたものです。
ちなみにこれはデモクリトス原子論の影響を受けています。

選択肢4. キング牧師は、黒人の参政権成立後も残る人種差別に抗議し、どの生命も尊ばれるべきであるとする「生命への畏敬」の理念を掲げ、ワシントン大行進を行い、公民権運動を主導したアメリカの活動家である。

誤文です。
「どの生命も尊ばれるべきであるとする『生命への畏敬』の理念」はシュヴァイツァーが唱えたものです。

まとめ

以上指摘した部分を除いてはそれぞれ正しい説明です。
一応、各誤答選択肢には明らかな間違いがありますが、
まだ知識が定着していないと少し難しかったかもしれません。

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