大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問57 (<旧課程>倫理(第4問) 問3)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問57(<旧課程>倫理(第4問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生JとKが倫理の授業の予習をしているときに交わした次の会話を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのJとKは各々全て同じ人物である。

J:うーん、次回の授業で扱うa 未来世代に対する責任ってよく分からないなあ。
K:後の世代のためによいことをしなければいけない、というのは当然じゃない?
J:その人たちに何がよいのかなんて、今の私たちに分かる?私にはb ネットがない生活なんて耐えられないけど、この気持ちは昔の人には分からなかったでしょ。未来の人はまた違うことを望むはずで、それは予想できないよね。
K:変わらないこともあるよ。誰だって衣食住や自由が必要だし、c 子どもは大人に守ってもらわないと。それに安全なd 環境や社会がなければ不安だよ。
J:でも、私個人のe 行動が、未来の人の生活に影響することなんてあるのかな。
K:一人ひとりの廃棄で川や海にプラスチックが溜(た)まり、電気やガスの使い過ぎでf 温暖化も進んだ、と授業で習ったね。個人の行動も未来に影響はするよ。
J:なるほど。だけど、そもそも私たちに未来世代に対する責任があるのかなあ。この責任を負う相手には、遠いg 将来の人だって含まれるかもしれないわけでしょ。そんな赤の他人になぜ何かをしてあげなければいけないのかな?
K:そういう人を思いやるのは難しいけど、それって何もしないことの言い訳になる?遠い未来に生まれるとしても私たちと同じ人間なんだから、h 道徳的に考えると、その人たちの利害も私たちのものと同様に重要なんじゃないの。
J:うーん、まだ存在もしていない人の利害よりも、いま現に生きている人の利害の方が大事な気もする。それに、同世代の人に何かよいことをするならお返しをしてもらえる可能性があるけど、未来世代の人からは何も返してもらえないよ。一方的な自己犠牲をしなきゃいけないの?
K:それは本当に一方的な自己犠牲なのかな。違うと思うよ。私たちが有限な人生を生きることの意味や幸福って、誰かが私たちの遺産を引き継いで幸せに生きていってくれるっていう期待にかかっているんじゃないの。
J:i 後を継ぐ人がいないとしても、自分らしく生きられるのなら、それで十分だと思うけど。まだ納得できないから、明日、授業を受けてからまた話そう。

下線部cに関連して、子どもの発達や養育についての記述として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
  • 子育てや教育が、家族よりむしろ保育所や学校などの組織に担われるようになることは、家族機能の外部化と呼ばれる事象の一例である。
  • 青年期において、大人の集団にも子どもの集団にも属さない不安定な状態に置かれることを、レヴィンは脱中心化と呼んだ。
  • 子どもが親や大人の指図や保護に対して反発する時期の一つとして、7~8歳の頃の第二反抗期が挙げられる。
  • 青年期において達成すべき発達課題の一つとして、エリクソンは周りの世界や自分自身を信じるという基本的信頼の獲得を挙げた。

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この過去問の解説 (3件)

01

家族や人間の発達についての知識問題です。

選択肢1. 子育てや教育が、家族よりむしろ保育所や学校などの組織に担われるようになることは、家族機能の外部化と呼ばれる事象の一例である。

正答です。

家族機能の外部化について正しい説明です。

教育が学校、保育所に、介護がサービス事業所に、健康管理が医療機関に、しつけが専門機関に、それぞれ家庭から移っていきました。

背景には核家族化や共働き世帯の増加などが挙げられます。

タルコット・パーソンズが唱えた考え方です。

選択肢2. 青年期において、大人の集団にも子どもの集団にも属さない不安定な状態に置かれることを、レヴィンは脱中心化と呼んだ。

不適当です。

青年期において、大人の集団にも子どもの集団にも属さない不安定な状態に置かれる」状態はエリクソンの指摘するモラトリアム(猶予期間)の説明に似ています。

レヴィンは「行動は人と環境の関数」と唱え、人間の行動が正確、能力のみで決まるわけでもなければ環境だけで決定するわけでもなく、相互作用で決まるという考え方を示したことが有名です。

脱中心化とは、物事について、自分の立場や視点にとらわれずに他者の視点からも捉えられるようになる発達段階のことで、ピアジェが唱えました。

主に7〜11歳具体的操作期と呼ばれる年頃のことです。

選択肢3. 子どもが親や大人の指図や保護に対して反発する時期の一つとして、7~8歳の頃の第二反抗期が挙げられる。

不適当です。

第二反抗期とは、いわゆる思春期で、12〜15歳のことを指します。

ちなみに第一次反抗期は2〜3歳で、いわゆるイヤイヤ期です。

7〜8歳は中間反抗期で、親より友達を重視し、口答えが増えてくる時期です。

選択肢4. 青年期において達成すべき発達課題の一つとして、エリクソンは周りの世界や自分自身を信じるという基本的信頼の獲得を挙げた。

不適当です。

エリクソンが「青年期において達成すべき発達課題」と指摘したのは自我同一性(アイデンティティ)の確立です。

自分は何者で、どんな価値観で生き、将来どのような役割を担うのかといった問いに向き合うことです。

基本的信頼の獲得は、乳児期(0〜1歳)の発達課題であり、愛情によって育まれます。

まとめ

エリクソンの発達課題は頻出問題なので、整理して覚えておきましょう。

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02

この問題は、子どもについて青年期の特徴を表す言葉や発達課題、

それらを提唱した人物などを総合的に聞いている良問です。

この分野は苦手としている受験生も多いので、

一度周辺知識を洗ってみてください。

 

選択肢1. 子育てや教育が、家族よりむしろ保育所や学校などの組織に担われるようになることは、家族機能の外部化と呼ばれる事象の一例である。

適切。

核家族化や単身世帯化の進行によって、

子育てや教育を、家族より保育所や学校などの組織が担っている状態を、

家族機能の外部化と呼ばれています。

選択肢2. 青年期において、大人の集団にも子どもの集団にも属さない不安定な状態に置かれることを、レヴィンは脱中心化と呼んだ。

不適切。

「脱中心化」ではなく、「周辺人」です。

マージナル・マン(周辺人・境界人)とは、

レヴィンが、青年期の若者が子どもと大人の、

どちらにも完全に帰属しきれていないことから呼びました。

脱中心化とは、

ピアジェが、世界は自分を中心に動いているのではなく、

自分以外の他者の視点を理解することが必要と唱えました。

 

 

選択肢3. 子どもが親や大人の指図や保護に対して反発する時期の一つとして、7~8歳の頃の第二反抗期が挙げられる。

不適切。

第二反抗期は「7~8歳」ではなく、「11~17歳」です。

第二反抗期とは、青年期にみられる心理的変化を特徴づけた言葉で、

社会や親に対する反発が強まることです。

 

選択肢4. 青年期において達成すべき発達課題の一つとして、エリクソンは周りの世界や自分自身を信じるという基本的信頼の獲得を挙げた。

不適切。

基本的信頼の獲得は乳児期の発達課題です。

エリクソンの青年期の発達課題は、

アイデンティティ(自我同一性)の確立と指摘しました。

また、エリクソンは、人生を8段階に分け、

各発達段階には、それぞれ達成すべき発達課題があると指摘しました。

 

この問題では問われていませんが、ハヴィガーストについても触れておきます。

ハヴィガーストは、青年期の発達課題として、

経済的自立、職業選択、結婚、家庭生活のための準備をすることなどをあげています。

 

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03

この問題では、家族機能の外部化、レヴィンやピアジェ、エリクソンなどのキーワードについて押さえる良問となっています。

選択肢1. 子育てや教育が、家族よりむしろ保育所や学校などの組織に担われるようになることは、家族機能の外部化と呼ばれる事象の一例である。

適切

家族機能の外部化とは、今まで家族によって担われた機能を外部サービスに委託することです。

保育所や学校などの組織以外に、家事やレジャー、医療福祉、介護などを外部に委託することも含みます。

選択肢2. 青年期において、大人の集団にも子どもの集団にも属さない不安定な状態に置かれることを、レヴィンは脱中心化と呼んだ。

不適切

青年期において、大人の集団にも子どもの集団に尾属さない不安定な状態に置かれることを、レヴィンはマージナルマン(境界人)と呼びました。

脱中心化は発達心理学者ピアジェが提唱した概念で、子どもが自分を中心とした視点だけではなく、自分以外の他者の視点を理解できるようになることです。

選択肢3. 子どもが親や大人の指図や保護に対して反発する時期の一つとして、7~8歳の頃の第二反抗期が挙げられる。

不適切

第二反抗期は11歳から17歳ごろを目安に起こる反抗期とされています。

選択肢4. 青年期において達成すべき発達課題の一つとして、エリクソンは周りの世界や自分自身を信じるという基本的信頼の獲得を挙げた。

不適切

エリクソンは青年期ではなく乳児期の発達課題として周りの世界や自分自身を信じるという基本的信頼の獲得を挙げました。

 

エリクソンの発達課題

第1段階 乳児期  基本的信頼

第2段階 幼児初期 自律感

第3段階 幼児期  自発性・主導性

第4段階 学童期  勤勉性

第5段階 青年期  アイデンティティの確立

第6段階 成人初期 親密性

第7段階 壮年期  生殖性

第8段階 老年期  統合性 

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