大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問39 (<旧課程>倫理(第2問) 問1)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問39(<旧課程>倫理(第2問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

以下を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのC、D、先生は各々全て同じ人物である。

次の会話は、日本思想に関する倫理の授業後に、高校生CとDが交わしたものである。

C:a 理想という言葉について調べることになったんだけど、困ったなあ。そもそも理想って何だろう?
D:改めて聞かれると難しいよね。ある本で理想の意味を調べてみたら、「現実があるがままの姿を指すのに対して、人および物事のb あるべき姿を指し示す言葉」だと書いてあったよ。
C:ということは、c 仏教者や儒者など、日本の先人たちがあるべき姿をどのように考えてきたかを調べてみたらいいのかな?
D:そうだね、一緒に調べてみよう!

下線部aに関連して、古代の日本人が重んじたあり方についての説明として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
  • 自然との調和を重んじた古代の人々は、自然の恵みを受けて共同体が繁栄することを理想とし、自然の中に神が存在することを認めなかった。
  • 自然との調和を重んじた古代の人々は、自然の威力に逆らわないことを理想とし、災厄が生じたときには身を慎んで、一切の祭祀(さいし)を行わなかった。
  • 純粋な心を重んじた古代の人々は、人間が生まれながらに持っている罪を禊によって祓い清め、神と一体になることを目指した。
  • 純粋な心を重んじた古代の人々は、偽りのない心で神に向き合うことを大切にし、祭祀を妨げて共同体の安穏を脅かす行為を罪であると考えた。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、古代の日本人が重んじた、人間や共同体の理想的なあり方について問われています。

選択肢1. 自然との調和を重んじた古代の人々は、自然の恵みを受けて共同体が繁栄することを理想とし、自然の中に神が存在することを認めなかった。

誤りです。

古来から日本では自然の中、ありとあらゆるものの中に霊(神)が宿ると考えられてきました。

この考え方をアニミズムと言います。

したがって、「自然の中に神が存在することを認めなかった」という記述は不適切です。

選択肢2. 自然との調和を重んじた古代の人々は、自然の威力に逆らわないことを理想とし、災厄が生じたときには身を慎んで、一切の祭祀(さいし)を行わなかった。

誤りです。

古来から日本では、罪や穢れを祓うために祭祀が行われてきました。

代表的なものが、祓(はらえ)や禊(みそぎ)と呼ばれる儀式です。

よって、「一切の祭祀(さいし)を行わなかった」という記述は不適切です。

選択肢3. 純粋な心を重んじた古代の人々は、人間が生まれながらに持っている罪を禊によって祓い清め、神と一体になることを目指した。

誤りです。

「人間が生まれながらに持っている罪」という考え方は、キリスト教の教義における「原罪」に近いです。

選択肢4. 純粋な心を重んじた古代の人々は、偽りのない心で神に向き合うことを大切にし、祭祀を妨げて共同体の安穏を脅かす行為を罪であると考えた。

正しいです。

古来より日本では、清く、明るく、正しく、素直な心が重んじられてきました。

浄明正直と言います。

和を重んじる文化のもとで、共同体の安寧は重要だと考えられてきました。

まとめ

・アニミズム・・・自然界におけるありとあらゆるもに霊や神が宿るという考え方

・祓(はらえ)・禊(みそぎ)・・・罪や穢れを祓うために、古来より日本で行われてきた

・古来より日本では、清く、明るく、正しく、素直な心が重んじられてきた

 

自然と調和しながら、心の清らかさと共同体の安寧を重んじることが、古代より大切にされてきました。

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02

古代日本人の思想に関する問題です。

選択肢1. 自然との調和を重んじた古代の人々は、自然の恵みを受けて共同体が繁栄することを理想とし、自然の中に神が存在することを認めなかった。

誤りです。

 

古代日本人は、あらゆるものに神がいると考えており、自然の中にも神がいることを認めていました(八百万の神)。

選択肢2. 自然との調和を重んじた古代の人々は、自然の威力に逆らわないことを理想とし、災厄が生じたときには身を慎んで、一切の祭祀(さいし)を行わなかった。

誤りです。

 

災厄が生じたときは神が怒っていると解釈し、神の怒りを鎮めるために祭祀を行っていました。

選択肢3. 純粋な心を重んじた古代の人々は、人間が生まれながらに持っている罪を禊によって祓い清め、神と一体になることを目指した。

誤りです。

 

古代日本人は罪を生まれながらに持っているものではなく、後から付着するものであり、禊や祓いによって洗い流せるものだと捉えていました。

選択肢4. 純粋な心を重んじた古代の人々は、偽りのない心で神に向き合うことを大切にし、祭祀を妨げて共同体の安穏を脅かす行為を罪であると考えた。

正しいです。

 

古代日本人が重んじた純粋な心のことを清明心と言います。祭祀を妨げることは罪であるとされていました。

まとめ

どの選択肢の内容も古代日本人の思想として押さえておきたいものです。

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