大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問34 (<旧課程>倫理(第1問) 問4)
問題文
A:浮かない顔をしているね。
B:うーん。実は、友達とあることについて話していたら、言い争いになったんだよね。向こうは「自分の考えの方が正しい、a 真理なんだ」って言い張っていて、嫌になっちゃったよ。
A:それでどうしたの?
B:ただ黙ってやり過ごしたよ。議論にもb 礼儀やマナーが必要だし、あれだけ強く言われると、相手にするのが面倒くさくなっちゃった。
A:それはダメでしょ。とにかく、c 異なった見方や考えを持った相手に対しては、議論に勝って、自分の正しさを示さないと。
B:そうかな?黙って受け流した方がいいと思うけど…。その方が相手を傷つけることもなくてd 人間の生き方としてふさわしいと思うし、こっちも不快な思いをしなくて済むしね。
下線部dに関して、人間の生き方をめぐる様々な宗教や思想家の考え方についての説明として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問34(<旧課程>倫理(第1問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
A:浮かない顔をしているね。
B:うーん。実は、友達とあることについて話していたら、言い争いになったんだよね。向こうは「自分の考えの方が正しい、a 真理なんだ」って言い張っていて、嫌になっちゃったよ。
A:それでどうしたの?
B:ただ黙ってやり過ごしたよ。議論にもb 礼儀やマナーが必要だし、あれだけ強く言われると、相手にするのが面倒くさくなっちゃった。
A:それはダメでしょ。とにかく、c 異なった見方や考えを持った相手に対しては、議論に勝って、自分の正しさを示さないと。
B:そうかな?黙って受け流した方がいいと思うけど…。その方が相手を傷つけることもなくてd 人間の生き方としてふさわしいと思うし、こっちも不快な思いをしなくて済むしね。
下線部dに関して、人間の生き方をめぐる様々な宗教や思想家の考え方についての説明として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
- アリストテレスによれば、人間は、知性的な徳の中でも実践的な徳である思慮(フロネーシス)を働かせて、行為や情念に過剰や不足がある状態を避けるべきである。
- 回心後、各地で布教活動をしたパウロは、信徒が信仰・正義・愛の三つに基づいて倫理的に生活することを勧めたが、これらは後にキリスト教の三元徳と呼ばれた。
- イエスが語ったとされる「実に、神の国はあなたがたの中にある」という言葉は、黄金律と呼ばれ、後にJ.S.ミルによって功利主義道徳の精神を表現するものとして重視された。
- 苦しみに耐え忍ぶ実践としての忍辱を重視した大乗仏教では、他者の忍辱の修行を妨げないようにするため、苦しむ人を助けるという慈悲の実践を控えることが推奨された。
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題では、西洋・東洋の主要な思想や宗教における「生き方」や「善く生きる」ということについて、理解できているかが問われています。
正しいです。
アリストテレスは、思慮(フロネーシス)を用いて、「中庸」を保つことが重要だと唱えました。
中庸とは、行為や感情において過剰や不足のない状態です。
誤りです。
キリスト教の三元徳は、信仰、希望、愛です。
「正義」が入っているという説明は誤りです。
誤りです。
黄金律とは、「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」という教えです。
誤りです。
大乗仏教は広く衆生を救済しようとするため、「苦しむ人を助ける実践を控えることを推奨する」という記述は不適切です。
・アリストテレス/フロネーシス・・・実践的知恵で中庸を保つ
・キリスト教の三元徳・・・信仰・希望・愛
・黄金律・・・「人にしてもらいたいことを人に行う」
・大乗仏教・・・衆生救済を重視
思想・宗教の中心概念を押さえておくと、選択肢の正誤を判断しやすくなります。
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02
人間の生き方に関する思想についての問題です。
正しいです。
アリストテレスは過剰でも不足でもなく、中庸が重要であると述べました。
アリストテレスは徳を知性的徳と習性的徳に分けています。
誤りです。
キリスト教の三元徳は信仰・希望・愛です。
誤りです。
黄金律とは、自分が人からしてもらいたいことを、その通りに人々にもしてやることです。この利他的行為に功利主義道徳の精神をミルは見出しています。
誤りです。
大乗仏教では人々を救済することが重んじられています。
細かいところもありますが、誤りの選択肢の中には、それぞれ引っかかるところがあったかと思います。
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