大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問14 (<旧課程>現代社会(第3問) 問1)
問題文
ホシノさんはまず講義のテーマとなっている日本のバブル経済の発生と崩壊の過程について整理することにした。次のア~オはバブル景気について、その前後も含めた時代背景を述べたものである。このア~オを年代順に並べたものとして最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。
ア 不動産価格の下落によって土地の値上がりを前提とした融資の一部が返済不能となり、金融機関の経営を圧迫して貸し渋りの一因となった。
イ 不況への対策として、日銀は低金利政策を実施したが、その結果市場にあふれた資金は株式や不動産市場に流入し、これらの価格が高騰した。
ウ プラザ合意により急激な円高が進行した結果、日本の輸出関連産業が業績不振に陥り、日本国内の景気が低迷した。
エ 東証日経平均株価は前年末に史上最高値を付けたが、前年の半ばから行われていた日銀による政策金利の引上げなどもあって、その年明けから株式相場は急落を始めた。
オ 株式や不動産相場は経済の実体以上の水準にまで高騰し、資産効果によって消費や投資が増加した。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問14(<旧課程>現代社会(第3問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
ホシノさんはまず講義のテーマとなっている日本のバブル経済の発生と崩壊の過程について整理することにした。次のア~オはバブル景気について、その前後も含めた時代背景を述べたものである。このア~オを年代順に並べたものとして最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。
ア 不動産価格の下落によって土地の値上がりを前提とした融資の一部が返済不能となり、金融機関の経営を圧迫して貸し渋りの一因となった。
イ 不況への対策として、日銀は低金利政策を実施したが、その結果市場にあふれた資金は株式や不動産市場に流入し、これらの価格が高騰した。
ウ プラザ合意により急激な円高が進行した結果、日本の輸出関連産業が業績不振に陥り、日本国内の景気が低迷した。
エ 東証日経平均株価は前年末に史上最高値を付けたが、前年の半ばから行われていた日銀による政策金利の引上げなどもあって、その年明けから株式相場は急落を始めた。
オ 株式や不動産相場は経済の実体以上の水準にまで高騰し、資産効果によって消費や投資が増加した。
- ウ → ア → イ → オ → エ
- ウ → イ → オ → エ → ア
- エ → ア → イ → オ → ウ
- エ → ウ → イ → オ → ア
- オ → イ → エ → ア → ウ
- オ → エ → ア → イ → ウ
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この過去問の解説 (2件)
01
バブル経済の発生と崩壊の過程についての理解が問われています。
日本では1980年代にバブル景気が発生し、1990年代初めに崩壊しました。
一連の流れを押さえておきましょう。
日本でのバブル景気は、1985年に行われたプラザ合意が要因のひとつとされています。
プラザ合意は、アメリカが自国のドル高、日本の円安を是正するために行われた合意です。
それにより、日本は円安から円高になり、輸出産業に深刻なダメージがありました。(ウ)
政府は不況への対策として、金融緩和政策を行いました。
金利が下がったことで、市中には資金があふれ、企業の余剰資金が増えました。
しかし、結果として、余った資金は株式・不動産などへの流れ込みました。(イ)
それにより、地価や株価が高騰し、実体を伴わないほどの価格にまで達しました。
資産効果(資産が上昇することで、豊かになった気持ちになり消費が増えること)によって、個人の消費も増えました。(オ)
政府は、こうした実態と乖離した地価や株価の高騰に対策を打つことにし、金融引き締め、つまり金利の引き上げを行いました。(エ)
しかし、地価や株価は適正な価格に落ち着くつくどころか、急速に値下がりしました。
その結果、土地を売却しても、想定していた価格で売れず、土地の値上がりを前提にした融資の返済ができない人たちが増えました。
また、銀行も融資ができなくなり、貸し渋りが深刻化しました。(ア)
このように、バブルとは「泡」のことですが、泡が弾けてしまったように、バブル経済は崩壊しました。
以上より、選択肢ア〜オを年代順に並べると次のようになります。
ウ→イ→オ→エ→ア
<日本のバブル経済の発生と崩壊の過程>
プラザ合意(輸出へのダメージから不況に)
↓
政府は、不況への対策として金利を下げる
↓
地価や株価の高騰
↓
地価や株価を適正な価格にするため、政府は金利を上げる
↓
土地の値上がりを前提にした融資の返済ができない人たちが増える。銀行も融資ができなくなる。
なぜバブル経済が発生し、崩壊したのかについて整理しましょう。
特に、不況になった時、政府や日本銀行が行う金融政策(金融緩和/金融引き締め)が株価や地価、個人や企業にどのように影響するかをあわせて理解することが重要です。
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02
バブル経済の背景に関する問題です。
バブル経済は、不動産や株式などに過剰な投資がなされ、実体経済と乖離して価格が高騰する経済のことです。
日本におけるバブル経済とは、1980年代後半から1990年代初頭にかけてのものが主に指されます。
ア バブル経済崩壊後のことです。金融機関が膨大な不良債権を抱えたことで、貸すのを渋る貸し渋りや少しでも資金を回収しようと返済を迫る貸しはがしが起きました。それにより、経済が停滞し「失われた20年」と呼ばれる経済停滞が起きました。
イ 円高不況に対する対策として行われたのが低金利・金融緩和政策です。それにより、多くの人がお金を借りやすくなり、そのお金が土地や株式に投じられることとなりました。
ウ 1985年、アメリカの国際収支悪化の是正のためにプラザ合意で円高ドル安介入が行われました。その結果、輸出が不利になり、経済低迷を引き起こして円高不況につながります。
エ 高まりすぎた投機熱を抑えるために金利引き上げや総量規制が行われた結果、一斉に投機から手が引かれたことでバブルが崩壊しました。
オ 土地や株が実体以上に値上がりしたことで、キャピタルゲインによる資産効果が生じました。買った時よりも売る時の方が価格が高い状態となっていました。
よって、正しい順番は、ウ→イ→オ→エ→アです。
誤りです。
正しいです。
誤りです。
誤りです。
誤りです。
誤りです。
細かい情報も入っていました。バブル経済がどのようにして生じ、崩壊がどのような影響を残したのか、一連の流れを把握しておきましょう。
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