大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問38 (<旧課程>倫理(第1問) 問8)
問題文
A:この前、道を歩いていたら、お年寄りが道端にへたり込んでいて、どこか様子が変だったんだよね。声をかけた方がいいのかなって思ったんだけど、迷ってるうちに別の人が声をかけたんだ。
B:まあ、よいことをa 実践しようとしてもなかなか難しいよね。
A:でも、いつもそうなんだ。b 結果はどうあれ、よいと思ったなら行動すべきだって思っているんだけど、その場になると行動できなくて…。
B:確かに、その場面でc やるべきことはやれなかったかもしれないけど、思っただけでも立派だと思うよ。自分のことしか考えていない人もいるのに。
A:うーん。でも、行動できる人とは違うよ。どうして私は行動できなかったのかな…。
B:モヤモヤしてるねえ。あ、倫理の授業が始まるね。そういえば今日は、d 心と行為についての内容じゃなかったっけ?
先生:おはようございます。今日の授業は「心と行為」というテーマに沿って様々な宗教や思想の資料を読んでいきます。色々な考え方に触れて、自分の身近な事柄についても考えてみましょう。
資料 王陽明『伝習録』より
知は心の本体であって、心は自然と(孝悌や惻隠を)知ることができる。……これ(心の本体である知の自然なはたらき)が良知であって、外に求められる必要のないものである。……もし心の良知に妨げがなく、それを充実・発現させることができたなら、それが致知である。
……喜怒哀懼(く)愛悪欲を七情と言い、これらは人の心に当然あるべきものである。……七情がもし自然の流れに従っているならば、これらもみな良知のはたらきであって、善悪で区別すべきではない。……ただ、七情に執着してはいけない。執着するのは私欲であり、良知の妨げである。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問38(<旧課程>倫理(第1問) 問8) (訂正依頼・報告はこちら)
A:この前、道を歩いていたら、お年寄りが道端にへたり込んでいて、どこか様子が変だったんだよね。声をかけた方がいいのかなって思ったんだけど、迷ってるうちに別の人が声をかけたんだ。
B:まあ、よいことをa 実践しようとしてもなかなか難しいよね。
A:でも、いつもそうなんだ。b 結果はどうあれ、よいと思ったなら行動すべきだって思っているんだけど、その場になると行動できなくて…。
B:確かに、その場面でc やるべきことはやれなかったかもしれないけど、思っただけでも立派だと思うよ。自分のことしか考えていない人もいるのに。
A:うーん。でも、行動できる人とは違うよ。どうして私は行動できなかったのかな…。
B:モヤモヤしてるねえ。あ、倫理の授業が始まるね。そういえば今日は、d 心と行為についての内容じゃなかったっけ?
先生:おはようございます。今日の授業は「心と行為」というテーマに沿って様々な宗教や思想の資料を読んでいきます。色々な考え方に触れて、自分の身近な事柄についても考えてみましょう。
資料 王陽明『伝習録』より
知は心の本体であって、心は自然と(孝悌や惻隠を)知ることができる。……これ(心の本体である知の自然なはたらき)が良知であって、外に求められる必要のないものである。……もし心の良知に妨げがなく、それを充実・発現させることができたなら、それが致知である。
……喜怒哀懼(く)愛悪欲を七情と言い、これらは人の心に当然あるべきものである。……七情がもし自然の流れに従っているならば、これらもみな良知のはたらきであって、善悪で区別すべきではない。……ただ、七情に執着してはいけない。執着するのは私欲であり、良知の妨げである。
- 資料では、良知は心によって知覚される対象に存在するものとされています。王陽明の致良知の思想を踏まえると、私がお年寄りに声をかけられなかったのは、まだ良知への知覚が不十分であったということです。
- 資料では、七情に執着しても良知が妨げられることはないとされています。王陽明の致良知の思想を踏まえると、私がお年寄りに声をかけようと思ったのは、心の良知のはたらきによるものだったということです。
- 資料では、心の良知を完全に発現できたならそれが致知だとされています。王陽明の知行合一の思想を踏まえると、私が実際には声をかけなくとも、かけようと思うことで行為は成立していたということです。
- 資料では、七情への執着が良知を発揮することを妨げるとされています。王陽明の知行合一の思想を踏まえると、良知が妨げられていなければ、私はお年寄りに声をかけようという心のままに行動できたということです。
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この過去問の解説 (2件)
01
王陽明の思想とは、
知ることと実行することは同一であるとする知行合一のことです。
以上を踏まえて各選択肢を検討していきます。
「良知は心によって知覚される対象に存在するもの」という部分が不適です。
資料では「心の本体である知の自然なはたらきが良知である」とあり、
良知は心によって知覚される対象に存在するという内容ではありません。
「七情に執着しても良知が妨げられることはない」という部分が不適です。
資料では「七情に執着するのは私欲であり、良知の妨げである。」という内容の記述があります。
「私が実際には声をかけなくとも、かけようと思うことで行為は成立していた」という部分が不適です。
知行合一とは知識には行動が伴う必要があるという思想であり、
思うことで行為が成立するという意味ではありません。
適当です。
思想についての用語だけでなく、
その内容も理解しておく必要があります。
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02
王陽明の思想について問われている問題です。
生まれ持った善悪を判断する力を実践によって発揮する「致良知」、
知識と行動は一体である「知行合一」について理解しておく必要があります。
不適当
良知は心の本体である知の自然なはたらきであるため、良知への知覚が不十分ということはありません。
不適当
資料には、七情の執着は良知の妨げであると書かれています。
不適当
声をかけようと思っただけで実際に行動できていないので、致知とはなりません。
適当
声をかけるのを迷ったことが、七情への執着となっています。
「致良知」「知行合一」「心即理」などから、王陽明の実践重視の思想を理解しておきましょう。
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