大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問89 (<旧課程>政治・経済(第4問) 問2)
問題文
下線部bに関連して、生徒Xと生徒Yは、地球環境問題の取組みに関する歴史的展開を踏まえて、京都議定書(1997年採択)、パリ協定(2015年採択)の位置づけや内容について調べてみた。この二つの条約に関する記述として最も適当なものを、次の回答選択肢のうちから一つ選べ。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問89(<旧課程>政治・経済(第4問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
下線部bに関連して、生徒Xと生徒Yは、地球環境問題の取組みに関する歴史的展開を踏まえて、京都議定書(1997年採択)、パリ協定(2015年採択)の位置づけや内容について調べてみた。この二つの条約に関する記述として最も適当なものを、次の回答選択肢のうちから一つ選べ。
- 京都議定書では、「共通だが差異ある責任」という理念に基づいて、環境を犠牲にして経済発展を成した先進国のみに地球環境保護の責任があるとされた。他方、パリ協定では、すべての国に地球環境保護の責任があることが合意され、すべての締約国に温室効果ガスを削減する義務が課された。
- 京都議定書、パリ協定ともに、地球環境保護が将来世代の発展にとって不可欠であり、現在の成長よりも地球環境保護を優先すべきとする「持続可能な開発」という理念に基づいている。また、いずれの条約でも、先進国、発展途上国を問わず、すべての締約国に同様に温室効果ガス削減義務が課されている。
- 京都議定書では、現在の成長よりも将来世代の発展を優先すべきとする「持続可能な開発」という理念に基づいて、全人類の問題として一律の温室効果ガス削減目標が課されている。他方、パリ協定では、将来世代の発展は各締約国が決定する問題であるとして、削減目標は各国が自主的に決定することとした。
- 京都議定書と異なり、パリ協定では、すべての締約国が温室効果ガス削減に取り組むことを義務づける仕組みが採用されている。ただし、パリ協定でも、先進国に発展途上国向けの資金支援を義務づけるなど、「共通だが差異ある責任」という理念に適合するルールが用意されている。
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この過去問の解説 (3件)
01
京都議定書とパリ協定の位置づけや内容の差異についての問題です。
それぞれの選択肢の内容が適切か検討していきます。
「パリ協定ではすべての締約国に温室効果ガスを削減する義務が課された」という部分が不適です。
削減目標の設定が義務化されたのみであり、
削減の義務化は見送られています。
「いずれの条約でも、先進国、発展途上国を問わず、すべての締約国に同様に温室効果ガス削減義務が課されている」という部分が不適です。
京都議定書は先進国のみ削減義務が課されました。
またパリ協定では削減目標の設定が義務化されたのみであり、
削減の義務化は見送られています。
京都議定書では「一律の温室効果ガス削減目標が課されている」という部分が不適です。
国ごとに異なる削減目標が課されました。
また発展途上国には削減義務が課されていません。
適切です。
地球温暖化対策の取組みについて、
京都議定書とパリ協定の内容の違いを理解しておきましょう。
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02
正解は「京都議定書と異なり、パリ協定では、すべての締約国が温室効果ガス削減に取り組むことを義務づける仕組みが採用されている。ただし、パリ協定でも、先進国に発展途上国向けの資金支援を義務づけるなど、「共通だが差異ある責任」という理念に適合するルールが用意されている。」です。
以下、解説になります。
パリ協定では、温室効果ガス削減を主体的に設定することが規定されましたので、義務が課されたわけではありません。
京都議定書は先進国のみ削減義務を負うことになっています。
そのため、すべての国に課されているわけではありません。
京都議定書では、「一律の温室効果ガス削減目標」を掲げていません。
正解はこの肢です。
パリ協定では、温室効果削減を主体的に実施していく義務付けの仕組みが採用されています。
この機会に、京都議定書とパリ協定の内容や相違点を確認しましょう。
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03
共通だが差異ある責任の内容について理解しましょう。
適切な選択肢ではありません。パリ協定において全ての締約国に温室効果ガスを削減目標を自主的に設定することが義務付けられました。ですので、「削減する義務が課された」という表現は正確ではありません。
適切な選択肢ではありません。京都議定書は先進国のみ削減義務を負うことになります。
適切な選択肢ではありません。京都議定書において「一律の温室効果ガス削減目標」が掲げられていたわけではありません。国ごとにより異なります。
適切な選択肢です。
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