大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問39 (<旧課程>倫理(第2問) 問1)
問題文
次の会話は、日本思想についての倫理の授業後に、高校生Cと先生が交わしたものである。
C:先生、私、自分で課題を設定して探究する授業が苦手です。私は教室で先生方の話を聞くのが好きなのに、「問い」を立てるのはうまくいかなくて…。問いって、どこから手をつけたらいいか分かりません。
先生:必ずしも問いそのものを特別なものと考える必要はありませんよ。先生方に授業内容について質問したり、仲間に将来の夢を尋ねたりすることなら、気軽にできるでしょう。それも問いです。どれほど高尚に思える問いも、そうした素朴な問いが原点にあります。そういえばこの間の授業で、a仏教について取り上げたときに、禅問答の話をしましたね。
C:はい、私にはとても到達できない次元の問いだと感じました…。
先生:そうした身近なものに思えない仏教の問いも、実は素朴な問いに根ざしているのです。あなた自身も、例えば授業中に先生方の話を聞いていても、様々な疑問が、浮かんでは消えるでしょう。思考していれば、自然と浮かぶのが問いです。あなたももうできているはずですよ。
C:先生の授業で、b日本の神々でさえも問いを発するのだと習いましたね。c念仏と救いの関係を問うた仏教者の授業も印象的でした。こうした問いが、素朴な問いから始まっているというのは、大変興味深いです。そうだ、次の授業では課題を立てるんでしたね。「問い」をテーマにします!
下線部aに関連して、次のア・イは、仏教者についての説明である。その正誤の組合せとして正しいものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
ア 最澄は、法華経に基づき、成仏できる人とできない人を、悟りの能力により区別することを重視し、前者のための学問・修行の制度を定めた。
イ 空也は、諸国を巡り、庶民に阿弥陀仏信仰を説くとともに、道を拓(ひら)き、井戸を掘り、遺棄された死者を火葬するなど、人々のために活動した。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問39(<旧課程>倫理(第2問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
次の会話は、日本思想についての倫理の授業後に、高校生Cと先生が交わしたものである。
C:先生、私、自分で課題を設定して探究する授業が苦手です。私は教室で先生方の話を聞くのが好きなのに、「問い」を立てるのはうまくいかなくて…。問いって、どこから手をつけたらいいか分かりません。
先生:必ずしも問いそのものを特別なものと考える必要はありませんよ。先生方に授業内容について質問したり、仲間に将来の夢を尋ねたりすることなら、気軽にできるでしょう。それも問いです。どれほど高尚に思える問いも、そうした素朴な問いが原点にあります。そういえばこの間の授業で、a仏教について取り上げたときに、禅問答の話をしましたね。
C:はい、私にはとても到達できない次元の問いだと感じました…。
先生:そうした身近なものに思えない仏教の問いも、実は素朴な問いに根ざしているのです。あなた自身も、例えば授業中に先生方の話を聞いていても、様々な疑問が、浮かんでは消えるでしょう。思考していれば、自然と浮かぶのが問いです。あなたももうできているはずですよ。
C:先生の授業で、b日本の神々でさえも問いを発するのだと習いましたね。c念仏と救いの関係を問うた仏教者の授業も印象的でした。こうした問いが、素朴な問いから始まっているというのは、大変興味深いです。そうだ、次の授業では課題を立てるんでしたね。「問い」をテーマにします!
下線部aに関連して、次のア・イは、仏教者についての説明である。その正誤の組合せとして正しいものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
ア 最澄は、法華経に基づき、成仏できる人とできない人を、悟りの能力により区別することを重視し、前者のための学問・修行の制度を定めた。
イ 空也は、諸国を巡り、庶民に阿弥陀仏信仰を説くとともに、道を拓(ひら)き、井戸を掘り、遺棄された死者を火葬するなど、人々のために活動した。
- ア:正 イ:正
- ア:正 イ:誤
- ア:誤 イ:正
- ア:誤 イ:誤
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
日本の思想に関する問題です。
ア:誤
たしかに最澄は天台宗の開祖で、法華経を重視しましたが、
「成仏できる人とできない人を、悟りの能力により区別することを重視」はしていません。
むしろ、一乗思想の下、全ての生物が仏になりうると述べました。(一切衆生悉有仏性)
イ:正
文章の通りです。
空也は「南無阿弥陀仏」を唱えながら各地を遊行した上人で、
社会事業にも貢献したことから市聖とも呼ばれます。
以上より
ア:誤 イ:正
が解答です。
このような日本思想の問題は日本史選択者には簡単かもしれませんが、それ以外の方にはややとっつきにくいところがあります。
軽く日本史の知識があると覚えやすいですから、中学レベルの日本史の知識はもっておくべきです。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
02
ア:誤りです。
最澄(法華経)ではなく、徳一が法相宗に基づき行ったことです。
それを批判した最澄との間で交わされた三一権実諍論が有名です。
イ:正しいです。
空也は平安時代中期の僧侶です。
庶民のために献身的な活動を行ったことで「市聖(いちのひじり)」「阿弥陀聖」
「市上人(いちのしょうにん)」などと称されました。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
03
この問題では以下のキーワードを押える必要があります。
法相宗の徳一は、成仏できるかどうかを、悟りの能力により区別することを重視し、前者のための学問・修行の制度を定めました。
天台宗の最澄は、全ての人が平等に成仏することができるとしました。
浄土教の空也は、諸国を巡り、庶民に阿弥陀仏信仰を説くとともに、道を拓き、井戸を掘り、遺棄された死者を火葬するなど、人々のために活動しました。
不適切
正 ×
法相宗の徳一は、成仏できるかどうかを、悟りの能力により区別することを重視し、前者のための学問・修行の制度を定めました。
天台宗の最澄は、全ての人が平等に成仏することができるとしました。
正 〇
浄土教の空也は、諸国を巡り、庶民に阿弥陀仏信仰を説くとともに、道を拓き、井戸を掘り、遺棄された死者を火葬するなど、人々のために活動しました。
不適切
正 ×
法相宗の徳一は、成仏できるかどうかを、悟りの能力により区別することを重視し、前者のための学問・修行の制度を定めました。
天台宗の最澄は、全ての人が平等に成仏することができるとしました。
誤 ×
浄土教の空也は、諸国を巡り、庶民に阿弥陀仏信仰を説くとともに、道を拓き、井戸を掘り、遺棄された死者を火葬するなど、人々のために活動しました。
適切
誤 〇
法相宗の徳一は、成仏できるかどうかを、悟りの能力により区別することを重視し、前者のための学問・修行の制度を定めました。
天台宗の最澄は、全ての人が平等に成仏することができるとしました。
正 〇
浄土教の空也は、諸国を巡り、庶民に阿弥陀仏信仰を説くとともに、道を拓き、井戸を掘り、遺棄された死者を火葬するなど、人々のために活動しました。
不適切
誤 〇
法相宗の徳一は、成仏できるかどうかを、悟りの能力により区別することを重視し、前者のための学問・修行の制度を定めました。
天台宗の最澄は、全ての人が平等に成仏することができるとしました。
誤 ×
浄土教の空也は、諸国を巡り、庶民に阿弥陀仏信仰を説くとともに、道を拓き、井戸を掘り、遺棄された死者を火葬するなど、人々のために活動しました。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問38)へ
令和5年度(2023年度)本試験 問題一覧
次の問題(問40)へ