大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問32 (<旧課程>倫理(第1問) 問2)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問32(<旧課程>倫理(第1問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生AとBが登校中に交わした次の会話を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのAとBは各々全て同じ人物である。

A:倫理の授業のことだけど、自分たちが生きているのとは異なる時代や社会におけるa様々な正義の考え方が出てきて、覚えるのが大変だよね。
B:確かに。すぐには理解できないものもあるけど、色んな正義がそれぞれ実際にb人々の生き方と密接に関わってきたんだよね。
A:そうだね。そうした正義によって、みんなが調和して暮らせるような社会を築こうとしていたのかな。
B:ひょっとしたら、正義はc人間相互の関係の中で必然的に求められるものって考えられるかもしれないよ。
A:それは、正義を私たちのd共存のために必要なものとして捉えるってこと?
B:そう、そうすれば今の私たちが正義と思うものとの共通点が見えてくるかも。例えば、人々を対等な関係にあるものとして扱うe平等の観点なら、私たちになじみのない正義の中にも見いだせそう。
A:なるほど。でも、それなら、異なる正義観が生じるのはどうしてなんだろう…。人間の捉え方がそもそも異なるとか?
B:というと?
A:つまり、人間相互の関わりの中で正義を見るなら、そもそもf人間の本性がどう考えられているかが大事で、そこから正義の考え方の違いも生じているんじゃないかって。
B:確かに。そこが違えば、正義の意味やあり方も違ってくる。
A:そう、だから正義について学ぶときには、g人間の本性を踏まえた上で、人はどう振る舞うべきだと考えられてきたのかを見る必要があると思う。あれ…、授業で学んだことを再確認したくなってきたぞ…。
B:よし、放課後、図書館に行って、正義や人間の本性についてもう少し調べてみよう。

下線部bに関して、様々な宗教や思想とそれに基づいた生き方についての説明として最も適当なものを、次の回答選択肢のうちから一つ選べ。
  • パリサイ(ファリサイ)派は、律法によって人々の生活を厳格に規定しようとする態度を批判し、ユダヤ教徒としてより柔軟な生き方を求めた。
  • アリストテレスは、倫理的徳に基づいた政治的生活を送ることが人間にとって最も望ましい生き方であり、最高の幸福をもたらすと考えた。
  • ジャイナ教の信者はその多くが、不殺生の戒めを遵守することができる農業従事者として生活していた。
  • 老子は、自然に身を委ね、村落共同体のような小さな国家において素朴で質素な生活に満足する生き方を理想とした。

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この過去問の解説 (3件)

01

源流の思想に関する問題です。

選択肢1. パリサイ(ファリサイ)派は、律法によって人々の生活を厳格に規定しようとする態度を批判し、ユダヤ教徒としてより柔軟な生き方を求めた。

誤文です。逆の内容になっています。


パリサイ(ファリサイ)派は、律法によって人々の生活を厳格に規定しようとしました。
一方、イエスは彼らの形式的態度を批判し、隣人愛などを唱えたと聖書には書かれています。

選択肢2. アリストテレスは、倫理的徳に基づいた政治的生活を送ることが人間にとって最も望ましい生き方であり、最高の幸福をもたらすと考えた。

誤文です。
倫理的徳」(習性的徳)が「知性的徳」、「政治的」が「観想(テオリア)的」なら正文です。

 

観想(テオリア):純粋に真理を探究すること

選択肢3. ジャイナ教の信者はその多くが、不殺生の戒めを遵守することができる農業従事者として生活していた。

誤文です。逆の内容になっています。
ジャイナ教の信者はその多くが、不殺生の戒めを遵守することができないため、農業従事者としては生活しなかった。」なら正文です。

選択肢4. 老子は、自然に身を委ね、村落共同体のような小さな国家において素朴で質素な生活に満足する生き方を理想とした。

正文です。


老子は、村落共同体のような小さな国家(小国寡民な地域)での生活を理想としました。
老子は荘子と異なり、政治的要素を排除しませんでした。

 

他に老子の道(タオ)に従う生き方を表す言葉としては、
無為自然(人為を排除し自然に身を委ねること)や柔弱謙下(柔軟で謙虚な態度)などがあります。

まとめ

アリストテレスの選択肢なども細かいように見えて、一言違うだけで大きな間違いになります。

こうした問題に対処するには本質的な理解が必要です。

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02

歴史的に重要な宗教的思想や教義の知識を問われている問題です。

選択肢1. パリサイ(ファリサイ)派は、律法によって人々の生活を厳格に規定しようとする態度を批判し、ユダヤ教徒としてより柔軟な生き方を求めた。

不適当です。


パリサイ(ファリサイ)派は、律法によって人々の生活を厳格に規定しようとし、ユダヤ教徒として律法を厳守する生き方を求めました。

 

イエスや初期キリスト教は、律法によって人々の生活を厳格に規定しようとする態度を批判し、ユダヤ教徒としてより柔軟な生き方を求めました。
 

選択肢2. アリストテレスは、倫理的徳に基づいた政治的生活を送ることが人間にとって最も望ましい生き方であり、最高の幸福をもたらすと考えた。

不適当です。


アリストテレスは、知性的徳に基づいた観想的生活を送ることが人間にとって最も望ましい生き方であり、最高の幸福をもたらすと考えました。

 

倫理的徳に基づいた政治的生活を送ることは、人間らしい幸福だと考えました。
 

選択肢3. ジャイナ教の信者はその多くが、不殺生の戒めを遵守することができる農業従事者として生活していた。

不適当です。


ジャイナ教の信者はその多くが、不殺生の戒めを遵守することができない農業従事者として生活することを避けていました。

農業は、土を耕すことで虫や微生物を殺してしまう可能性があるからです。
 

選択肢4. 老子は、自然に身を委ね、村落共同体のような小さな国家において素朴で質素な生活に満足する生き方を理想とした。

適当です。


これは「小国寡民」といわれる考え方です。

また老子は、「道(タオ)」に従い、

人為的な干渉を避けて自然の流れに身を委ねる「無為自然」を理想としました。

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03

この問題では、それぞれの宗教的思想を押さえる必要があります。

 

パリサイ派は、ユダヤ教の一派として存在し、律法を遵守することを徹底的に行う宗派でした。

 

アリストテレスは真理を追究する観想的生活こそが人間にとって最も望ましい生き方であり、最高の幸福をもたらすと考えました。

 

ジャイナ教はヴァルダマーナによって創始され、いかなる生き物に対しても不殺生を徹底していました。

 

孟子は、「小国(小さな国)寡民(住んでいる人が少ない)」を唱え、自然に身を委ね、村落共同体のような小さな国家において素朴で質素な生活に満足する生き方を理想としました。

選択肢1. パリサイ(ファリサイ)派は、律法によって人々の生活を厳格に規定しようとする態度を批判し、ユダヤ教徒としてより柔軟な生き方を求めた。

不適切

 

パリサイ派は、ユダヤ教の一派として存在し、律法を遵守することを徹底的に行う宗派でした。

 

選択肢2. アリストテレスは、倫理的徳に基づいた政治的生活を送ることが人間にとって最も望ましい生き方であり、最高の幸福をもたらすと考えた。

不適切

 

アリストテレスは真理を追究する観想的生活こそが人間にとって最も望ましい生き方であり、最高の幸福をもたらすと考えました。

選択肢3. ジャイナ教の信者はその多くが、不殺生の戒めを遵守することができる農業従事者として生活していた。

不適切

 

ジャイナ教はヴァルダマーナによって創始され、いかなる生き物に対しても不殺生を徹底していました。

選択肢4. 老子は、自然に身を委ね、村落共同体のような小さな国家において素朴で質素な生活に満足する生き方を理想とした。

適切

 

孟子は、「小国(小さな国)寡民(住んでいる人が少ない)」を唱え、自然に身を委ね、村落共同体のような小さな国家において素朴で質素な生活に満足する生き方を理想としました。

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