大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問36 (倫理(第1問) 問6)
問題文
次の会話は、Aと先生が交わしたものである。
A:先生、先日話題になった「賢明な友」というのは、e 知を探求して洞察力を備えている友ということでしょうか?
先生:そういうことになるでしょうね。
A:でも、私が悩んでいるのはそういう高尚な話ではなく、日常的な友達とのf 人間関係についてです。
先生:具体的にはどのような悩みですか?
A:時々、自分が友達の役に立っているのか、友達を楽しませることができているのか、不安になるんです。
先生:ひょっとして、Aさんは、友達関係を型にはめて考えてしまい、その考えにがんじがらめになっていませんか?
A:言われてみれば、そうかもしれません。
先生:g 友達の役に立つことや、友達を楽しませることは、どういう意味を持つのでしょうか?それに、会って実際に過ごせる相手だけが友達なのでしょうか?
A:友達って、会って同じ時間を過ごす相手なんじゃないんですか?
先生:例えば、h 相手と離れていても、時代を隔てていても、友達としてのつながりを感じることができるという考え方もありますよ。
下線部fに関連して、様々な宗教や思想家における人間関係についての考え方の説明として最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問36(倫理(第1問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
次の会話は、Aと先生が交わしたものである。
A:先生、先日話題になった「賢明な友」というのは、e 知を探求して洞察力を備えている友ということでしょうか?
先生:そういうことになるでしょうね。
A:でも、私が悩んでいるのはそういう高尚な話ではなく、日常的な友達とのf 人間関係についてです。
先生:具体的にはどのような悩みですか?
A:時々、自分が友達の役に立っているのか、友達を楽しませることができているのか、不安になるんです。
先生:ひょっとして、Aさんは、友達関係を型にはめて考えてしまい、その考えにがんじがらめになっていませんか?
A:言われてみれば、そうかもしれません。
先生:g 友達の役に立つことや、友達を楽しませることは、どういう意味を持つのでしょうか?それに、会って実際に過ごせる相手だけが友達なのでしょうか?
A:友達って、会って同じ時間を過ごす相手なんじゃないんですか?
先生:例えば、h 相手と離れていても、時代を隔てていても、友達としてのつながりを感じることができるという考え方もありますよ。
下線部fに関連して、様々な宗教や思想家における人間関係についての考え方の説明として最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
- イスラームでは、現実社会における貧者の救済が重視されているものの、それは宗教上の義務である五行には含まれない。
- 仏教の八苦の教えには、憎い人と会わなくてはならない苦しみと、愛する人と別れなければならない苦しみが含まれている。
- 荘子は、執着を捨て去り、人間関係など何ものにも囚(とら)われず、天地自然からも離れた自由な境地を理想とした。
- 神がモーセを通してユダヤ人に与えたとされる十戒には、神とユダヤ人の関係が規定されており、人間同士の関係は規定されていない。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は「仏教の八苦の教えには、憎い人と会わなくてはならない苦しみと、愛する人と別れなければならない苦しみが含まれている。」の選択肢です。
八苦(8つの思い通りにならないこと)とは
・生:生まれること
・老:老いること
・病:病にかかること
・死:死ぬことの苦しみ
・愛別離苦:失恋、別離、死などによって愛する人と別れる苦しみ
・怨憎会苦:憎く思っている相手と会わなくてはいけない苦しみ
・求不得苦:欲しいものがあるのにそれを手に入れられない苦しみ
・五陰盛苦:人間の「色」「受」「想」「行」「識」の5つに執着するために起きる苦しみ
現実社会における貧者の救済は五行の喜捨(ザカート)を表しているため、不正解です。
イスラムの五行
・信仰の告白(シャハーダ):「アッラーの他に神はなく、ムハンマドはその使徒である」と告白すること。
・礼拝(サラート):一日五回、決まった時間に神に礼拝を行うこと。
・喜捨(ザカート):貧しい人々や困っている人々に対して、財産の一部を寄付すること。
・断食(サウム):ラマダーン月に日の出から日没まで飲食を断つこと。
・巡礼(ハッジ):可能な限り一生に一度、メッカへの巡礼を行うこと。
正解です。
八苦を一言一句覚える必要はありませんが、イメージを押さえておきましょう。
荘子は、自己への執着と分別の心から生まれた苦しみから自由となり、天地自然と一体になることを理想としたため、不正解です。
「荘子」は「老子」とともに、道教の大家とされました。
両者をあわせて「老荘思想」とよびます。
老子の思想
・無為自然:ありのままの自分として生きること。
無理に人為的なことをしないで、自然のままに生きること
・柔弱謙下:、ひたすら謙虚で他人と争わない生き方
・小国寡民:人口も少なく自給自足できる程度のつつましい国を理想とする
荘子の思想
・万物斉同:すべてのものは本質的に等しく、対立や区別は人間の主観に過ぎない。
十戒には、神と人の関係と人と人の関係の両方が記載されているため、不正解です。
十戒はイスラエル人が正しく生きるための基準として用いられ、後にユダヤ教の律法の基盤となっていきます。
・あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。
・あなたはいかなる像も造ってはならない。
・あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
・安息日を心に留め、これを聖別せよ。
・あなたの父母を敬え。
・殺してはならない。
・姦淫してはならない。
・盗んではならない。
・隣人に関して偽証してはならない。
・隣人の家を欲してはならない。
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02
正解は、「仏教の八苦の教えには、憎い人と会わなくてはならない苦しみと、愛する人と別れなければならない苦しみが含まれている。」です。
以下、解説になります。
イスラームの五行とは、信仰告白、礼拝、断食、喜捨、巡礼を指しています。
貧者の救済は、「喜捨」に包含される概念です。
正解は、この肢です。
仏教の八苦とは、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦です。
憎い人と会う苦しみは、「怨憎会苦」です。また、愛する人と別れる苦しみを「愛別離苦」といいます。
荘子が理想としたのは、万物平等の思想です。
十戒のうち、第1戒から4戒までが、神と人との関係に関する戒律です。
5戒から10戒までが、人と人との関係に関する戒律です。
宗教の教示内容は、宗教ごとに色が異なります。主要な宗教については、正確に覚えておくとよいでしょう。
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03
この問題に必要な選定となる知識は、以下の通りです。
イスラムにおける五行は、
信仰告白 礼拝 喜捨 断食 巡礼です。
仏教における八苦とは、
いわゆる四苦八苦、すなわち
生老病死に加えて、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五陰盛苦を指します。
荘子は、万物盛同(万物を同一視する)という考え方を提唱し、世俗的な価値観を批判し、自然に生きることを推奨します。
モーゼにおける十戒とは、
旧約聖書に記されており、ユダヤ教やキリスト教の倫理的基礎を形成しています。
それは、唯一神信仰 偶像崇拝の禁止 安息日の厳守 両親尊敬 禁殺人 禁不倫 窃盗禁止 虚偽証言禁止などです。
イスラムにおける五行は、
信仰告白 礼拝 喜捨 断食 巡礼です。
この「喜捨」から派生する「ザカート」(貧者の救済)は、信者にとって重要な義務とされています。
従って、不正解です。
仏教における八苦とは、
いわゆる四苦八苦、すなわち
生老病死に加えて、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五陰盛苦を指します。
つまり、「愛別離苦」(愛する人と別れなければならない苦しみ)、「怨憎会苦」(憎い人と会わなくてはならない苦しみ)が
八苦の一つとして挙げられています。
従って、正解です。
荘子は、万物盛同(万物を同一視する)という考え方を提唱し、世俗的な価値観を批判し、自然に生きることを推奨します。
それは、必ずしも天地自然からも離れた生活を送るという意味ではありません。
従って、不正解です。
モーゼにおける十戒とは、
旧約聖書に記されており、ユダヤ教やキリスト教の倫理的基礎を形成しています。
それは、唯一神信仰 偶像崇拝の禁止 安息日の厳守 両親尊敬 禁殺人 禁不倫 窃盗禁止 虚偽証言禁止などです。
神との関係はもちろん、人間同士の関係を厳しく定めています。
従って、不正解です。
この問題には、難しい概念が並びますが、頑張って学習をしてください。
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