大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問5 (<旧課程>現代社会(第1問) 問5)
問題文
卒業生の話を聞いてみよう
「争い事の解決~国際社会の場合~」
大学で学んでいることについて(その1)
ですが、次第に、d 国と国との間の争い事がどのように解決されているか、国際法が力の行使をいかに規制しているかに興味をもつようになりました。というのも、高校生にもなれば、自転車置場の取り合いが殴り合いのケンカになることはありませんが、国は時に、他国との争いを力ずくで解決しようとしてきたからです。しかし同時に、そうした力による解決を回避する努力も積み重ねられてきました。
そして今日、国際連合の加盟国は、他国との紛争を平和的手段によって解決する義務を負っています。国際連合憲章は、平和的手段の例をいくつか挙げていますが、そのリストの最初に書かれているのが「交渉」です。身近な生活のなかで生じる争い事もそうですが、話合い、つまり外交交渉を通じて国家間の利害を調整できるなら、それが一番です。
下線部dに関する記述として適当でないものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問5(<旧課程>現代社会(第1問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
卒業生の話を聞いてみよう
「争い事の解決~国際社会の場合~」
大学で学んでいることについて(その1)
ですが、次第に、d 国と国との間の争い事がどのように解決されているか、国際法が力の行使をいかに規制しているかに興味をもつようになりました。というのも、高校生にもなれば、自転車置場の取り合いが殴り合いのケンカになることはありませんが、国は時に、他国との争いを力ずくで解決しようとしてきたからです。しかし同時に、そうした力による解決を回避する努力も積み重ねられてきました。
そして今日、国際連合の加盟国は、他国との紛争を平和的手段によって解決する義務を負っています。国際連合憲章は、平和的手段の例をいくつか挙げていますが、そのリストの最初に書かれているのが「交渉」です。身近な生活のなかで生じる争い事もそうですが、話合い、つまり外交交渉を通じて国家間の利害を調整できるなら、それが一番です。
下線部dに関する記述として適当でないものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
- 著書『戦争と平和の法』のなかで、戦争行為を、国家間に適用される法によって、緩和することを説いたのは、グロティウスである。
- 国際法は、条約のほか、成文法でない慣習国際法(国際慣習法)という形式をとることもある。
- 個別的自衛権と集団的自衛権という2種類の自衛権のうち、国際連合憲章が明示的に規定しているのは、個別的自衛権のみである。
- 日本が掲げる「外交三原則」には、「アジアの一員としての立場の堅持」が含まれる。
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この過去問の解説 (2件)
01
国際法とは、
国家間の合意に基づいて、主として国家間の関係を規定する法のことです。
適当です。
グロティウスは、「自然法と国際法の父」と呼ばれるオランダの法学者です。
著書「戦争と平和の法」を通じて、国際法理論の基礎を築きました。
適当です。
成文法とは、条約のように、文書の形で成文化された法のことです。
慣習国際法(国際慣習法)とは、
慣習がベースとなった、文書化されていない法のことです。
適当でないものです。
個別的自衛権とは、自国が他国から攻撃されたとき、自分の国を守る権利のことです。
集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある国が他国から攻撃されたとき、
自国が攻撃されたときと同じ対処をする権利のことです。
国際連合憲章とは、国際連合の設立根拠となる条約のことで、
加盟国の権利や義務などが定められています。
国際連合憲章第51条には、
「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、
安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、
個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」
と明記されています。
適当です。
日本が掲げる「外交三原則」とは、
「国際連合中心」「自由主義諸国との協調」「アジアの一員としての立場の堅持」です。
「アジアの一員としての立場の堅持」は、戦後、
特にアジア地域との安定的な関係構築を目指すために掲げられた重要な原則です。
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02
この問題では、国同士の争いごとや外交に関連した慣習や法律を押さえておく必要があります。
不適切
グロティウスは著書『戦争と平和の法』において、戦争行為を緩和するためには、国家間に適用される国際法が必要であると説きました。
不適切
国際法は、成文法である条約と成文法ではない国際慣習法の2種類が存在します。
適切
国際連合憲章第51条では、
国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合に、安全保障理事会が必要な措置を取るまでの間、「個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」と記されているため、
『個別的自衛権と集団的自衛権という2種類の自衛権のうち、国際連合憲章が明示的に規定しているのは、個別的自衛権のみである。』は不適切になります。
不適切
日本の外交三原則は、
「国際連合中心」「自習主義諸国との協調」「アジアの一員としての立場の堅持」からなります。
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