大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問46 (倫理(第2問) 問8)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問46(倫理(第2問) 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

Dは学習のまとめとして改めて縁について考え、次のレポートを書いた。レポートの内容に合致する記述として最も適当なものを、次ページの回答選択肢のうちから一つ選べ。

レポート
人生には色々な出会いや別れ、つながりや巡り合わせがある。そのような関わりを、日本人は縁と呼んできた。例えば、芸術鑑賞の授業では、親子の縁をテーマにした作品もあった。また「南方曼荼羅」の学習では、様々な線や渦巻模様は、縁によって万物はつながり合うというイメージを呼び起こしてくれた。
まず、縁には全体的なつながりという要素が重要になってくる。すると、偶然に思える出会いや出来事であっても、縁というものに気が付いていないから、それを私たちは偶然とみなすのかもしれない。しかし、人間を含めた、生きとし生けるものは、もともと縁によって皆つながり合っている。そう考えてみれば、全ての生き物は縁の結び目のような存在である。
このことを自覚できるのは、やはり人間だけであろうと私は考えを発展させてみた。自分が縁の結び目であることを知り、主体的に受け止めることができるのは、人間に感受性や認識の働きがあるからである。様々な出会いや別れを繰り返す世のあり方を無常と感じる考え方も日本の思想では見られる。無常だからこそ、縁によって生かされて生きるという感覚を大切にしてきたと言える。
そうした気付きにより、私たちの内に全ての生き物を含めた他者に対する責任の自覚が生まれてくる。つまり、この自覚は、縁によって生かされて生きることへの感謝の念だけではなく、自分自身もまたそのような縁を支え、結び付けるべき存在でもあることを、私たちに教えてくれるのである。そこから、縁に基づいた新たな生き方も可能になるのではないだろうか。
  • 私たちは皆、いわば縁の網の目の中で生きているが、日本人は人と生き物の関係における縁のことは念頭になく、もっぱら人と人との縁だけについて思いを巡らせてきた。
  • 人間を含めた全ての生き物は縁によって皆つながり合っているが、現実の中で経験される出会いや出来事そのものは全く偶然なものであるがゆえに、そこに縁の介在する余地はない。
  • 人間だけが縁の存在を自覚することができるが、そのことにより自らが生かされて生きるという実感が生まれ、また他者とのつながりを支えようとする主体性が得られる。
  • 私たちの内に生まれる他者への責任の自覚は、私たち自身もそのような縁を支え、結び付けるべきだと教えてくれるが、責任を負う範囲は人間社会に限られるものである。

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この過去問の解説 (2件)

01

レポートと選択肢の文を照らし合わせて間違った部分を探すという国語的な問題です。

選択肢1. 私たちは皆、いわば縁の網の目の中で生きているが、日本人は人と生き物の関係における縁のことは念頭になく、もっぱら人と人との縁だけについて思いを巡らせてきた。

不適当です。

レポートでは「全ての生き物を含めた他者に対する責任」と書いてあるので選択肢の文中の「日本人は人と生き物の関係における縁のことは念頭になく」は誤りです。

選択肢2. 人間を含めた全ての生き物は縁によって皆つながり合っているが、現実の中で経験される出会いや出来事そのものは全く偶然なものであるがゆえに、そこに縁の介在する余地はない。

不適当です。

選択肢の文は前段は正しいのですが、中段の「現実の中で経験される出会いや出来事そのものは全く偶然なものである」が誤りです。

レポートは「偶然に思える出会いや出来事であっても(中略)全ての生き物は縁の結び目のような存在」と書いてあり、選択肢の文とは真逆の説明ですね。

選択肢3. 人間だけが縁の存在を自覚することができるが、そのことにより自らが生かされて生きるという実感が生まれ、また他者とのつながりを支えようとする主体性が得られる。

正答です。

「人間だけが縁の存在を自覚することができる」はレポートに書いてあります。

ところが、この選択肢の紛らわしい部分が「できるが」です。

この「が」を逆接と勘違いしやすいので悪問といえるかもしれません。

その後の「自らが生かされて生きるという実感が生まれ」はレポートの「縁によって生かされて生きることへの感謝の念」と呼応します。

「他者とのつながりを支えようとする主体性が得られる」はレポートでは「自分自身もまたそのような縁を支え、結び付けるべき存在でもあることを、私たちに教えてくれる」に対応しています。

選択肢4. 私たちの内に生まれる他者への責任の自覚は、私たち自身もそのような縁を支え、結び付けるべきだと教えてくれるが、責任を負う範囲は人間社会に限られるものである。

不適当です。

「責任を負う範囲は人間社会に限られるものである」という部分がレポートの「全ての生き物を含めた他者に対する責任の自覚が生まれてくる」とまったく異なることがわかると思います。

まとめ

人物や思想の暗記なしでも正答にたどり着ける点では易しい問題です。

ただし、この手の問題でありがちですが、問題文、選択肢ともに文章が冗長で分かりにくい点では悪問といえます。

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02

日本人の縁に対する思想に関する問題です。

選択肢1. 私たちは皆、いわば縁の網の目の中で生きているが、日本人は人と生き物の関係における縁のことは念頭になく、もっぱら人と人との縁だけについて思いを巡らせてきた。

不適当

レポートには「人間を含めた、生きとし生けるものは、もともと縁によって皆つながり合っている。」と書いてあります。

選択肢2. 人間を含めた全ての生き物は縁によって皆つながり合っているが、現実の中で経験される出会いや出来事そのものは全く偶然なものであるがゆえに、そこに縁の介在する余地はない。

不適当

レポートには「偶然に思える出会いや出来事であっても、縁というものに気が付いていないから、それを私たちは偶然とみなすのかもしれない。」と書いてあります。

選択肢3. 人間だけが縁の存在を自覚することができるが、そのことにより自らが生かされて生きるという実感が生まれ、また他者とのつながりを支えようとする主体性が得られる。

適当

その通りです。

選択肢4. 私たちの内に生まれる他者への責任の自覚は、私たち自身もそのような縁を支え、結び付けるべきだと教えてくれるが、責任を負う範囲は人間社会に限られるものである。

不適当

レポートには「私たちの内に全ての生き物を含めた他者に対する責任の自覚が生まれてくる。」と書いてあります。

まとめ

落ち着いてレポートと選択肢の記述を見比べてみましょう。

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